罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

絶版本はどうやって手に入れたらよいのでしょうか?

ちょっと興味が沸いたので『絶版新書交響楽』を買ってみました。

新書で読める世界の名作、しかし現在は品切れ絶版となっているものを紹介した一冊です。第一章は岩波新書、第二章が講談社、第三章が河出書房、という感じに大手が並んでいて、第四章は英宝社です。

講談社のミリオン・ブックスや河出新書はあたしも知らないレーベルでしたが、英宝社はその版元名すら頭の中にありませんでした。不甲斐ない!

そして第六章はその他のマイナー新書を取り上げていますが、その間に挟まれた第五章が白水Uブックスなのです。

そんな本書の第一章、岩波文庫は「岩波新書の中国文学」という章題です。岩波文庫ならわかるのですが、ある時期、岩波新書で中国文学が刊行されていたのですね。全部で5点が取り上げられていました。で、あたしも自宅の書架を漁ってみたところ趙樹理の『結婚登記』を所蔵していました。もちろん古書店で手に入れたものですが、他の四作品は古書肆で目にした記憶すらありません。

そんなことを考えていましたら、かつて東方書店から刊行された高島俊男『独断!中国関係名著案内』を思い出しました。本書は東方書店のPR詩『東方』に連載されていたものを単行本化したものですが、その中にコラムとして「岩波新書中国関係」というのがあり、そこで岩波新書の中国モノを幅広く取り上げていました。最後に

総じていえば、戦後の岩波新書中国関係は、いいものもあるが、ずいぶんつまらないものも多く、貫禄十分の戦前版にくらべると、だいぶ見劣りする感をまぬかれない。

という、いかにも高島さんらしい一言で締めくくられています。

さて、話は戻って第五章のUブックスです。5作品が取り上げられています。ああ、こんな作品もあったなあ、と思いつつ、「あれ、これももう手に入らなくなっていたのか」と驚いたりもしました。社内にいると、意外とそういうところに疎くなったりするものです(汗)。

というわけで、同書では取り上げられていませんが、わが家の書架に所蔵するUブックスの絶版本コーナーが二枚目の写真です。海外モノは、復活させるにしても、まずは翻訳権の問題があり、そこが一つ大きな壁になります。また、以前の翻訳・邦訳のまま復活させてもよいのか、現在の読者の鑑賞に堪えうるのか、という問題も出て来ます。この十数年(?)新訳がブームなのも宜なるかな、ですね。

ちなみに白水Uブックスでは、この数年「永遠の本棚」として自社・他社でかつて刊行されていて現在では入手不可能になっている作品の復刊を行なっています。「これの復活を待っていた」という多くのお客様の後押しもあり、どれも一定数は確実に売れますし、ものによっては更に版を重ねている作品もあります。こちらも是非ご注目ください。