罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

今日の配本(21/11/12)

外国語の水曜日再入門

黒田龍之助

外国語は楽しい。水曜日の夕方、著者の研究室に学生がだんだんと集まりはじめる。そこでは誰もが外国語の学習をしている。発音練習をするユーラ、辞書を引くサーシャ、新たな文字を嬉しそうに書くスラーヴァ、練習問題を黙々と解く者などなど。この研究室には言語を学ぶ魅力があふれている。この本は、さまざまな言語と取り組んだ著者みずからの学習体験も交えながら、外国語学習の醍醐味を伝える、にぎやかで愉快な一冊。やっぱり外国語は楽しい。巻末に「ラテン語通信」を増補。

ロシア語の余白の余白

黒田龍之助

ロシア語は楽しい。でも、思うように勉強がはかどらないときもある。学習者の先輩でもある先生は学習者の気持ちがわかるからこそ、授業中に挟み込む脱線や雑談をとおして、外国語学習の魅力に改めて気づかせてくれる。効率とはほど遠い「余計な話」はなぜだか忘れられない。著者自身が学習のなかで気づいた点や体験したこと、教えながら感じたエピソードの数々を惜しげもなくまとめたエッセイ集。やっぱりロシア語は楽しい。巻末に「ベラルーシ語の余白、あるいは白学事始」を掲載。

ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人

エドワード・J・ワッツ 著/中西恭子 訳

ヒュパティアは4世紀後半~5世紀初頭、ローマ帝国アレクサンドリアで、優れた数学者・哲学者として弟子から政界と宗教界に要人を輩出しつつも、キリスト教徒の政治的対立に巻き込まれて415年に非業の死を遂げた。本書はその生涯に加えて、死後まもなくから21世紀にいたるまでの伝説と受容の長い歴史を紹介するとともに、ともすればそれらに埋もれがちな、彼女が実際に成し遂げたこと、その時代において達成したことは何なのかを考察する。