罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

とても薄っぺらな理解、否、もしかしたら誤読しているのかもしれませんが……

朝夕の通勤や営業回りの電車の中で、ちくま新書の『ルネサンス 情報革命の時代』を読んでいます。この時代については専門でも何でもないのですが、とても面白く読んでいます。

さて、そんな本書の中に「コモンプレイス・ブック」なる言葉が出て来ました。古典名言などを集め分類した本のようなものなのかなと感じました。さも知ったかぶりをするためのアンチョコのような使われ方もしたのだとか。

この「コモンプレイス・ブック」の部分を読んでいて、あたしが思い出したのは中国古典の「類書」です。たぶん一般的には「類書」は「百科事典」と見なされがちですが、あたしの知識では、むしろこの「コモンプレイス・ブック」と非常に近いものではないかと感じた次第です。

また記憶術のための「劇場」なる装置も、本書で紹介されています。七つの縦軸と七つの横軸、合わせて四十九の交点で、この世界、森羅万象を極めるような装置らしいです。残念ながら現物は残っておらず、正確な記録もほとんど残っていないようです。

その装置はともかく、四十九個でこの世のすべてを網羅できるのか、と誰もがツッコミを入れたくなる点が気になりました。ただし、あたしの場合、「そんなの無理でしょ」というツッコミではなく、「西洋では四十九なのか」という思いが強いです。なぜなら中国古典の易では六十四卦でこの世界を網羅しているからです。

六十四ある方が、もう少し詳しく細かく世界を分析しているのかな、なんて想像を逞しくさせたくなります。「コモンプレイス・ブック」と中国の「類書」、劇場の「四十九」と易の「六十四」、なにやら比較検討したら面白そうだなあと読みながら思ったのはあたしだけでしょうか?