罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

今日の配本(22/07/29)

生録中国語 インタビューでリスニングに挑戦!

CCアカデミー、大羽りん、趙青 編著

学習するとき耳にするのは、明瞭に発音される標準的な中国語がほとんどですが、当然ながら、実際の中国語は多種多様です。本書では、出身地・年齢・職業の異なる12人のインタビューを収録。発音の癖や訛りも含め、ネイティブの生の中国語を聞くことができます。先生や教科書とは違う、ちょっと聞きとりづらい中国語にチャレンジしてみてください。来日の経緯、仕事のやりがい、日中の相違点をどう見ているかなど、日本で暮らす彼らのリアルな声が伝わってくるはずです。

アイダホ

エミリー・ラスコヴィッチ 著/小竹由美子 訳

アイダホの山中に住む音楽教師アンは、夫ウエイドのかつての家族のことを何年も思い続けている。9年前、一家が薪を取りに出かけた山で、ウエイドの前妻ジェニーが末娘メイを手にかけ、上の娘ジューンはその瞬間を目撃、ショックで森に逃げこみ失踪した。長女の行方を必死に捜し続けてきたのに、最近のウエイドは若年性認知症の影響で、事件のことも娘がいたこともわからないときがある。ジェニーは、罰を受けること以外、何も望まず誰とも交わらずに服役してきたが、新たな同房者とあることを機にぎごちないやりとりが始まる。アンは夫のいまだ癒えぬ心に寄り添いたいと願い、事件に立ち入ることを躊躇いながらも、一家の名残をたどり、断片を繋ぎ合わせていく……。

経済学の壁 教科書の「前提」を問う

前田裕之 著

現代経済学への批判が絶えない。日本の大学では、標準的な履修コース(ミクロ経済学マクロ経済学計量経済学)が普及しているが、学生の間からは数式やグラフばかりで学習する意味を見出せないとの声をよく聞く。「経済学は役に立たない」と切り捨てるビジネスパーソンも少なくない。経済学とはどんな学問で、根底にはどんな考え方があるのか? 経済学の「前提」をよく理解せずに教科書や入門書を手に取り、経済学を学ぶ意義が分からないまま、消化不良を起こしてしまう人が多いようだ。そこで、本書では主流派と異端派の諸学説の原典や基本的な考え方を網羅し、経済学という学問の本質を掘り下げたうえで、経済学との付き合い方を提言する。

ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア[新版]

デボラ・ソロモン 著/林寿美、太田泰人、近藤学 訳

女優のブロマイド、天体図、貝殻などが箱に収められた作品を、生涯に800点以上制作。そのほか映画制作や雑誌デザインなども手がけたジョゼフ・コーネル(1903-1972)は、デュシャンレディメイドや、ありふれた廃物を用いたシュヴィッタースなど、すぐれた現代美術の系譜に連なりながらも、ニューヨークの地で新聞や雑誌の切り抜き、衣装の切れ端、B級映画のフィルムといった取るに足らないものに魅せられ、作家人生のすべてを懸け、それらを寄せ集めた作品を作り続ける。「大人のための玩具」やクリスマスの贈り物と見られる一方で、コーネルの作品を見たサルバドール・ダリは羨望から逆上し、「着想はあれとまったく同じで……文字にしたことも誰かに話したこともない。でもまるであいつが盗んだみたいなんだ」と嘆いたという。コーネルはつねに生きている人間を警戒し、安全な距離を保つことを心がけていた。「この世を去った著名人と深く自己同一化し、彼らの人生に自身を没入させるのが大好きだった」。没後50年記念出版。この新版では作品図版の代わりに、原注の翻訳を加え、索引を充実させる。コーネルの生涯を函入りでお届けする。