罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

先日の書評に……

書評が出ると本が売れる、それは一昔前の話、と言う人もいますが、今でも売り上げを押し上げる効果はあります。

確かに10年前、20年前に比べ、書評に出た以降の売り上げの伸びが鈍っているのは事実でしょうが、それは業界全体が縮んでいるので、それと比較したときに、書評効果がそれほど落ちているのか、一概には言えません。

ただし、基本的に書評というのは毎週更新され、新しい本が紹介されるものです。となると、書店としては、書評が出たから注文しても、その本が入荷するころには次の書評が出ているので、どれくらい売れるのか首をかしげてしまうのも理解できます。

とはいえ、毎週毎週新しい書評が出るからといって、翌週になれば前の週の本の注文が途切れるのかといえば、そんなことはありません。毎日のように電話で書店からの注文を受けていると、意外と息の長い書評効果というのを実感することがしばしばです。

読者を馬鹿にするわけではありませんが、書店店頭でよく聞くのは「この前の新聞に出ていたんだけど」と言われてこの一週間の新聞を当たってみたけど見当たらず、更に探したら二、三週間前のものだった、というエピソードです。「この前」といってもこの一週間とは限らず、一か月くらいのスパンを考えておいた方がよいのです。

となると、書評が出てから注文して、一週間近くかかって入荷したとしても、読者から見てそれほど時機を逸してしまっていることにはならないわけです。もちろん、初回のされ方やその本のジャンルにもよるので、すべてがそうだとは言えませんが……