罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

2006-01-01から1年間の記事一覧

知られざる素顔の中国皇帝

『知られざる素顔の中国皇帝』読了。肩の凝らない、中国皇帝の伝記集。新書という性格上、数百人にものぼる中国歴代皇帝の中から、ほんの一握りしか取り上げられていませんが、有名どころも押さえられていて、世界史で名前くらいは聞き覚えのある人が何人か…

孫子兵法発掘物語

『孫子兵法発掘物語』読了。 学術書というよりは手軽な読み物です。孫子の兵法やその発掘にまつわる学術的な蘊蓄は、巻末の浅野氏の解説を読んでいただければよいでしょう。 さて、本文。内容は面白いです。世紀の発見であるにもかかわらず、相当にぞんざい…

中国人の宗教・道教とは何か

『中国人の宗教・道教とは何か』読了。 中国というと儒教の国という印象がありますが、民間レベルでは実は道教がかなり根を張っている国です。もちろん知識人もかなり入れ込んでいます。そんな中国の隠れた宗教・道教の手軽な入門書です。 隠れた宗教などと…

巷談 中国近代英傑列伝

『巷談 中国近代英傑列伝』読了。 中国近代史の主人公たちを十数人取り上げた評伝集。各人物の評伝は数ページのコンパクトにまとめられているので、簡単に読み進めることができます。 ただ、あたしのような中国史の専門家や中国史好きにはよく知った人たちば…

項羽と劉邦の時代

『項羽と劉邦の時代―秦漢帝国興亡史』読了。 項羽と劉邦、およびその前後の時代を、『史記』や『漢書』の記述だけを頼りとするのではなく、出土資料なども斟酌しつつ、改めて概観した一書。 『史記』と『漢書』の記述の矛盾点だけでなく、『史記』の中の矛盾…

中国・アジア・日本

『中国・アジア・日本―大国化する「巨龍」は脅威か』読了。 印象としては、嫌中でも媚中でもなく、極めて中立的に日中関係を眺めている論調です。 最後にまとめて、これからの日中関係をどうするか、日本はどう振る舞うべきかを述べているので、その途中では…

日中2000年の不理解

『日中2000年の不理解―異なる文化「基層」を探る』読了。 日本人は感性の国民であり、信念を持っていて何事にもその信念を基準として行動する中国人や欧米人(キリスト教徒)、イスラム教徒とは根本的に異なる、という指摘はこれまで専門家なども指摘してい…

中国 大国の虚実

『中国 大国の虚実』読了。 先に読んだ『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』が、いわゆる「反日」活動家へのインタビューを中心にまとめているの対し、本書は日本経済新聞の紙上連載特集記事ということもあり、中国全般にわたる内容でした。そのため、一…

「反日」とは何か

『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』読了。 本書の特徴は、著者自身の言葉で語るよりも、その副題にもあるように、日本のマスコミではしばしば「反日活動家」などと紹介される中国人活動家へのインタビューを中心に構成されています。著者の意見や言葉…

北京ドール

『北京ドール』読了。 中国では発禁になったそうで……。こういう作品って、感想に困ってしまいますね。 確かに、中国の若者のライフスタイルもずいぶん変わったな、ということはわかります。もちろん北京や上海など一部の都会でのことですけど。 むしろ、これ…

人民に奉仕する

『人民に奉仕する』読了。 現在の改革開放路線を取る前の中国の、とある軍隊での話です。この本のオビなどを読めばだいたいわかってしまうので書いてしまいますが、あらすじは上司の家の(事実上)雑用係として配属された農民上がりの兵士が、その上司が北京…

漢字伝来

『漢字伝来』読了。 漢字に関する本はたくさんありますが、本書は日本語として、日本語を書き表わす道具として漢字が定着していく過程を丹念に解説したもので、専門的な書籍を除けば、他に類を見ないものではないでしょうか? ただ、最初にも書きましたよう…

歴史の嘘を見破る

『歴史の嘘を見破る―日中近現代史の争点35』読了。 いわゆる対中強硬論者のテーマ別論説集です。どちらかといえば親中派のあたしには、うなずけない論もあれば、それなりに首肯できる論もありました。それほど感情に流れず、引用なども比較的出典を明示して…

中国10億人の日本映画熱愛史

『中国10億人の日本映画熱愛史—高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで』読了。 中国映画の本ってのは、決してないわけではなかったですが、この本は中国に於ける日本映画の受容史とでも言うべき内容であるところに特色があります。中国で高倉健や中野…

上海狂想曲

上海狂想曲読了。 戦前の日本人作家や新聞記者の上海体験を通して、当時の日本人にとっての上海を描いた作品。 本文中で「最も近い外国の都市」というフレーズで上海が紹介されているのですが、戦時中ということもあるのでしょうが、ほとんど外国としての一…

雲上的少女

『雲上的少女』読了。 何でも中国では、バレンタインデーにこの本をプレゼントするのが大流行したとか。わかる気もします。高校生の甘酸っぱい恋愛模様(恋愛とも言えないレベル?)を描いた青春小説です。 読了しての感想は「中国も変わったなあ」です。感…

起業するなら中国へ行こう!

『起業するなら中国へ行こう!−北京発・最新ビジネス事情』読了。 著者は大手商社の北京駐在員から、そこを辞めて北京で起業した人です。経歴から見たところ、いわゆる中国思想とか中国文学や中国語ってのを専門に学んで、中国が好きで好きで、中国絡みの仕…

溥儀

『溥儀―清朝最後の皇帝』読了。 数奇な一生を送った、中国二千年の皇帝制度の最後を飾った宣統帝・溥儀の評伝。数奇な一生、激動の生涯など溥儀の一生を形容する言葉には困りませんが、比較的淡々と描かれている、むしろ大きな出来事、劇的な場面もないかの…

女帝−わが名は則天武后

『女帝−わが名は則天武后』読了。 著者は中国人ですけど、フランス在住で、この本もフランス語で書かれたみたいですね。けっこう本屋の店頭でも積まれているので、目にした方も多いと思いますが……。 さて、内容は則天武后の一代記です。物語は則天武后の一人…

貝と羊の中国人

『貝と羊の中国人』読了。 中国人の特性を貝と羊で表わした日中比較文化論。と言っても小難しい話は出てきません。また、取り立てて、数多い中国論を批判している本でもありません。 確かに著者は多くの中国脅威論などを暗に批判していることは読み取れます…

「権力社会」中国と「文化社会」日本

『「権力社会」中国と「文化社会」日本』読了。 著者は「社会特質」という言葉を使って日本社会と中国社会の違いを比較しています。日本と中国で同じような事柄に対して反応が異なるのもこの社会特質のせいだというのですが、それぞれの社会特質がどうして形…

君子の交わり、小人の交わり

『君子の交わり、小人の交わり―日中関係を90度ずらす』読了。 売れに売れている養老孟司さんと王敏さんの対談集。サブタイトルにある「90度ずらす」という言葉、本文中に一、二か所ほど言及がありましたけど、これといってメインテーマになっていない憾みが…

マオ

『マオ―誰も知らなかった毛沢東(上)』『マオ―誰も知らなかった毛沢東(下)』読了。 この手の本にしては文字が大きかったので、それは一般には読みやすいと言えるのでしょうが、あたし的にはむしろ読みづらさを感じました。 さて、「誰も知らなかった」と…

三国志人物外伝

『三国志人物外伝−亡国は男の意地の見せ所』読了。 この手の本はいろいろあります。いろいろな人がさまざまな角度から書いています。そんな中、この本の新味といえば、正史『三国志』や小説『三国志演義』にも記載されていないエピソードを極力拾っていると…

中国人、会って話せばただの人

『中国人、会って話せばただの人―近くて遠い隣人との対話』読了。 著者の田島氏が本文中でも述べているように、中国の「いま」を伝えるレポートとも言えるし、肩の凝らない旅行エッセイとも言えます。 中国について学者らしく分析的に欠いている部分と、田島…

李白の月

『李白の月』読了。 マンガとエッセイ(解説?)を組み合わせた肩の凝らない読み物です。 南伸坊さんが選んだ(気に入った)中国古典を、マンガに仕立て直したものですが、多少は南さんなりの解釈が入っています。でも、原文の持つ、ほのぼのした味わいは失…

孫文

『孫文〈上〉武装蜂起』『孫文〈下〉辛亥への道』読了。 かつて単行本で刊行されていたものの改題・文庫化。基本的には孫文の一代記ではなく、中華民国誕生の直前までを描いたもので、さてこの先の展開は(?)といった期待を抱かせる結末です。 宮崎滔天を…

中国、核ミサイルの標的

『中国、核ミサイルの標的』読了。 中国軍(人民解放軍?)の不透明さというのは、例えば何がどこに配備されているのか、予算は実際にはどのくらいなのかなど、いろいろ言われています。実際問題としてそれはその通りなんでしょうけど、本書のように中国の怖…

あらすじでわかる中国古典「超」入門

『あらすじでわかる中国古典「超」入門』読了。 本当に、大雑把に中国文学(古典)の世界を概観した本です。駆け足で、どころか猛ダッシュでと言った方がふさわしいくらいです。なので、かなり端折っている部分もあれば、取り上げているものに偏りがあるかも…

台湾 したたかな隣人

『台湾 したたかな隣人』読了。 台湾在住の著者による、台湾を理解するための指南書。著者が本文中で何度も指摘するように、日本では蒋経国・李登輝の治世をかなり高く評価していますが、実は市民運動など下からの動きが台湾の民主化を導いたという点が見落…