罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

起業するなら中国へ行こう!

起業するなら中国へ行こう!−北京発・最新ビジネス事情』読了。


著者は大手商社の北京駐在員から、そこを辞めて北京で起業した人です。経歴から見たところ、いわゆる中国思想とか中国文学や中国語ってのを専門に学んで、中国が好きで好きで、中国絡みの仕事がある小社を選んだ、というわけではなさそうです。


なので、いわゆる中国専門家の視点とは異なるところが多々あって面白い読み物になっています。タイトルからすると、中国で起業するための、あるいは企業とまではいかなくても中国で働くための日本人向けノウハウを満載したハウツー本のようですが、著者自身の略歴に絡めてそのあたりのことが簡単に書かれているくらいで、むしろ実際に中国で起業した目で見た中国と中国人、というスタイルです。


具体的な企業の苦労だとか、起業してからの苦労というものが、あまり詳しく書かれているわけでもなければ、こうしたらいいとかっていうアドバイスが満載なわけでもなく、そういう意味では物足りなさがあるかもしれませんし、このくらいの内容だったら他の中国在住ビジネスマンでも書けるよ、と言われそうです。


ただ、一般にある中国モノの本って、全く中国を理解していないで暴論を述べているのは論外としても、学者先生の著作ってのは得てして一般の人の視点に欠けることがあるので、そういうところを補うものとして面白く読めます。


たぶん、この路線をもっと面白おかしく、フィクション仕立てにしたら『中国てなもんや商社』になるのでしょう。