罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

雲上的少女

雲上的少女』読了。


何でも中国では、バレンタインデーにこの本をプレゼントするのが大流行したとか。わかる気もします。高校生の甘酸っぱい恋愛模様(恋愛とも言えないレベル?)を描いた青春小説です。


読了しての感想は「中国も変わったなあ」です。感想というか第一印象と言うべきかもしれません。もちろん、そこそこ恵まれた環境の、北京の若者の話であって、これがすべて中国の今どきの高校生のこと、とは断定できません。むしろ、中国の地方(田舎?農村?)の同じ歳の若者からすれば「いったいどこの国の話なの?」と言えるくらい別世界のことでしょう。


ただ、そうは言ってもこういう世界が、現在の中国の一方にあることは事実なわけで、いずれは地方にも、時間が多少かかったとしても広がっていくのだろうと思います。


主人公は学校帰りに、時には学校をサボって、町をぶらぶら歩き、ハーゲンダッツのアイスクリームを食べ、映画館でハリウッド映画や日本映画を見、ウォークマンで西洋の音楽を聴き、イタリアレストランで夕食を食べるという、まったくあたしたち日本人と変わらないライフスタイルです。時々出てくる地名とかを除けば、この小説の舞台が中国であるなんて思えないほどのストーリーです。


半ばくらいまでは、主人公はバカで直情的で本当に困りものの女の子です。だからリアルであり、作品を生き生きとしたモノにしているわけですけど、後半はなんか人物造形や主人公の生活描写などに精彩がかける気がするのは気のせいでしょうか?