罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

2005-01-01から1年間の記事一覧

東アジア「反日」トライアングル

東アジア「反日」トライアングル読了。 この前に読んだ「俺様国家…」に比べると、著者が大学の教員だけに、話の進め方に乱暴さは少ないです。著者の専門は北朝鮮や韓国と言うことで、中国に関しては著者独自の論と言うよりも、他人の著作やマスコミ報道など…

”俺様国家”中国の大経済

”俺様国家”中国の大経済読了。 あまり後味のよい本ではありませんでした。いわゆる中国脅威論の一角を占める書籍なのでしょうが、どうしてこうも中国を敵視するのだろうかと思います。 確かに書かれている内容でうなずける部分も多々あります。ただ、そこか…

中国経済のジレンマ

『中国経済のジレンマ』読了。 この手の本は、もう何冊も読んでますが、この本は経済学や実際の貿易・経済の現場を心得ていないと、ちょっと難しいかなと感じます。あたしのように、経済学の数字がからきしな人間には、読み進めるのがかなり大変でした。 た…

中国農民の反乱

『中国農民の反乱―隠された反日の温床』読了。 沿海部の大都市の繁栄ぶりとは裏腹に、中国の農村は今後の中国の発展の最大のアキレス腱になるという話は、既に聞き及んでいましたが、著者自らの体験によるそのリポートです。 原書が出て、数年後の今年、文庫…

中国人の愛国心

中国人の愛国心−日本人とは違う5つの思考回路読了。 中国人が日本文化に憧れ親近感を持ちつつも、親しくなったが故に、自分たちの生活にかなり浸透してきたが故に、逆に反発心を持ってしまうということはよく理解できました。 また、例えば反日デモにおいて…

ほんとうは日本に憧れる中国人

『ほんとうは日本に憧れる中国人− 「反日感情」の深層分析』読了。 中国の若者は意外と日本に憧れている、という内容。中国国内の反日・嫌日の人が読んだら怒るかもしれませんが、確実にこういう若者は増えているのだと思います。ただ、中国の若者がみんなそ…

満鉄調査部

『満鉄調査部―「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』読了。 満鉄調査部の歴史というよりは、必然的に満洲国史、日本近現代史といった内容になってしまいます。「あとがき」で「人物を中心に論を進めたために、日本の国内政治や満鉄と調査部の関係が後景に退い…

反日と反中

『反日と反中』読了。 直前に読んだ『…永遠のミゾ』に比べると、資料も豊富で、研究者の説を多く紹介してあり、かなり濃い本です。極めて対照的と言えます。 著者の立場は私から見ると非常に公平だと思いますが、やはりいろいろなところからクレームが来るの…

日本人と中国人永遠のミゾ

『日本人と中国人永遠のミゾ―ケンカしないですむ方法』読了。 サブタイトルに「ケンカしないですむ方法」とありますが、決して解決方法を具体的に提示しているような本ではありません。日本語・日本文化を専攻し、日本にも長く生活している著者が、身近に感…

鬼子たちの肖像

『〈鬼子〉たちの肖像―中国人が描いた日本人』読了。 中国の画報に描かれた日本人像をたどった一冊。中国人は中華文明に含まれない生き物をすべて「鬼」と見なしていたので、怪物も幽霊も妖怪も、異形の動物も、挙げ句の果てには外国人(西洋人)までもすべ…

阿片の中国史

『阿片の中国史』読了。 手軽な、近代中国の阿片問題簡史としては読みやすい本です。新書なので掘り下げた分析とか資料の提示はあまりないので、そこがやや物足りないですが、概略(大きな流れ)を知るにはこの程度がちょうどよいと思います。 ただ、日本の…

だれが中国をつくったか

『だれが中国をつくったか−負け惜しみの歴史観』読了。 著者は中国人の歴史を観る眼が数千年来変わっていないということを『史記』以来の正史を例にとって述べているのですが、どちらかというと本書は代表的な正史とその編纂に関わった人の紹介という読後感…

西太后

『西太后―大清帝国最後の光芒』読了。 清末の女傑・西太后の評伝でありながら、その時代が現在の中国の出発点になっているという視点で書かれた「清末史概説」でもある書です。新書という形態から、なぜ現在の中国の元になっているのかという点では、証明が…

「日中友好」は日本を滅ぼす!

『「日中友好」は日本を滅ぼす!―歴史が教える「脱・中国」の法則』読了。 日本史において中国と距離を置いた平安時代や江戸時代は日本が発展し、中国にかかわった時期は日本は混乱に陥ると述べる導入部。そういう見方もあるのかなという気持ちで読みました…

中国は社会主義で幸せになったのか

『中国は社会主義で幸せになったのか』読了。 中国の近代以来の歴史を、共産党を中心に俯瞰したもの。中国の革命の歴史、特に共産党の革命が、社会の土台を変革することなく、マルクス主義の教条に引きずられて進んでしまったため、中華人民共和国も、その内…

偽満州国論

『偽満州国論』読了。 満州国の通史とか裏面史のようなものを期待して読み始めましたが、むしろ本書は「近代国家論−満州国を素材として−」といった感が強いものでした。なので、いわゆる中国史専攻の人には、なかなか歯ごたえのある一冊ではないでしょうか。…

人名用漢字の戦後史

『人名用漢字の戦後史』読了。 著者は大修館書店で長年にわたって漢和辞典の編集を担当された方で、人名用漢字や当用漢字、常用漢字の変遷が、戦後政治の軌跡と重なるということを中心にまとめたもので、そういう視点からの「漢字モノ」はあまりないので面白…

中国激流

『中国激流―13億のゆくえ』読了。 先日読んだ莫邦富氏の著作に比べると、中国に対する見方は厳しいものがありますが、決して嫌中・反中的な立場ではなく、きわめて中立的な立場で書かれていると思います。中国人からすれば、偏狭な見解と言われるかもしれま…

日中はなぜわかり合えないのか

『日中はなぜわかり合えないのか』読了。 莫氏の著作はそれほど読んでいるわけではないんですが、これは新書で電車の中で読むにはちょうどいいし、なにしろこんな日中関係の時期だからこそ知日派中国人の意見を知っておこうと思って…。 論調はいたって中立な…

中国艶本大全

『中国艶本大全』(土屋英明、文春新書)読了。 前半、といっても半分より少なく、三分の一くらいは、中国の淫書の簡単な歴史概説で、後半が主な淫書・艶本の抄訳になっています。 この抄訳部分、同著者による徳間文庫『房中秘記―中国古典性奇談』とほとんど…

現代中国の禁書

『現代中国の禁書 民主、性、反日『(鈴木孝昌、講談社+α新書)読了。 中国のメディアに自分の信念を一度は発表できたものの、その後当局により発禁とされた人々へのインタビューを中心としたノンフィクション。著者は長らく香港、北京で新聞社の局長として…

真実

『真実―日中、二つの国の天と地』読了。 日本留学中の父と日本生まれの華僑の子である母の間に生まれた主人公=著者が、日本人の夫と結婚の約束をし、日本に渡るまでの半世紀。共産中国の成立によって希望にあふれた祖国へ帰った両親は、当初はその理想のま…

中華文人食物語

『中華文人食物語』(南條竹則、集英社新書)読了。 中華の名菜と、それにまつわる著名人のエピソードを、著者の南條氏が実際に統治へ足を運んで食べ歩いた経験とともに軽妙洒脱にまとめた一冊です。 南條氏があとがきでいみじくも自ら述べているように、自…

漢語からみえる世界と世間

中川正之『漢語からみえる世界と世間』読了。 著者・中川先生は、あたしが担当した『白水社中国語辞典』でたいへんお世話になった方なので、こういった読書感想は書きにくいのですが……。 全般的に言って、言語学に興味のある方には十分面白く、肩肘張らずに…

古代中国の文明観

『古代中国の文明観』読了。 <文明観>とは言うものの、初めのうちは「自然認識(=自然をどう見るか)」といった印象でした。古代中国の主要な思想学派−儒墨道−の自然観・文明観を考察するという、中国哲学モノには珍しい視点が新鮮でした。 中国古代の春…

多民族国家 中国

岩波新書『多民族国家 中国』読了。 中国は歴史的に多民族国家であった、周辺の文化を蔑視することはあっても、そこに住む人を蔑視したりはしない、という主張は他の研究者、他の著書でも書かれていることはありますが、このようにストレートに書かれると、…

奇人と異才の中国史

岩波新書『奇人と異才の中国史』読了。 中国史で、かなりの実績を残しているにもかかわらず、あまり知られていない人物を五十数名取り上げた本書は、新聞に連載されていたものをまとめたため、各人の記事はかなり短めです。なので、ずいぶんと端折ってしまっ…

『史記』の人間学

講談社現代新書の『『史記』の人間学』読了。 『史記』の注釈書などの研究書は多いが、人間学に関するものは少ないという著者の考えによって執筆された一冊。『史記』の中から、皇帝・将軍など何人かを選び、その人物像に迫るというものです。ただ、既に中国…

タブーの漢字学

講談社現代新書『タブーの漢字学』読了。 タイトルから、「一般に●●という字が使われてますが、本来の意味からすると間違いで…」的な本かと思ったのですが、性表現や死に関する漢字の使い方(?)などをまとめたもので、「あとがき」によれば、著者の阿辻先…

中国文明の歴史

講談社現代新書『中国文明の歴史』読了。 中国二千年(三千年?)の歴史を一冊でまとめたコンパクトな入門書です。が、著者の岡田氏は中国史専門というよりは、もう少し広く世界史という観点から中国史を捉えているので、「ああ、なるほど、こういうダイナミ…