罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

反日と反中

『反日と反中』読了。


直前に読んだ『…永遠のミゾ』に比べると、資料も豊富で、研究者の説を多く紹介してあり、かなり濃い本です。極めて対照的と言えます。


著者の立場は私から見ると非常に公平だと思いますが、やはりいろいろなところからクレームが来るのでしょう。しかし、それは仕方ないことだと思います。できうれば、著者が書いていることについて、予想される反論についてももう一言添えて欲しかったと思います。


著者の言は、別の書籍でも耳にする言説ですが、巷にはそれらに対する反論・反対意見も多数存在します。そういったものについて、もう少し紙幅を割いてもらえれば、より説得力がある本になったのではないかと思います。


本書に登場する中国人研究者は、かなり本音を語ってくれていますが、それでもまだ中国政府、あるいは共産党に遠慮した公式発言的なものが目につきます。彼らにとって忘れられないのは、実は日本の侵略という歴史ではなく、文化大革命で徹底的に弾圧された歴史の方ではないかと、読みながら思いました。