罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

鬼子たちの肖像

『〈鬼子〉たちの肖像―中国人が描いた日本人』読了。


中国の画報に描かれた日本人像をたどった一冊。中国人は中華文明に含まれない生き物をすべて「鬼」と見なしていたので、怪物も幽霊も妖怪も、異形の動物も、挙げ句の果てには外国人(西洋人)までもすべてひっくるめて「鬼」と呼んでしまっていたようです。つまり、自分たちと自分たち以外っていう至極単純明快な分け方ですね。


そんな鬼の系譜のしんがりに、日本が位置するわけでして、歴史的には「倭寇」という言葉が有名なように「倭奴」などの呼称が多かったのが、日清戦争以後、日中戦争までの敵対関係の中でめでたく(?)鬼の仲間入りしたという次第。


高島俊男さんほどではないですが、武田さんの文章も時折ピリッととした辛みの含まれる洒脱な文章で読ませます。