罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

阿片の中国史

『阿片の中国史』読了。


手軽な、近代中国の阿片問題簡史としては読みやすい本です。新書なので掘り下げた分析とか資料の提示はあまりないので、そこがやや物足りないですが、概略(大きな流れ)を知るにはこの程度がちょうどよいと思います。


ただ、日本の明治維新と阿片問題を述べる部分では、かなり著者の主観に傾きすぎているような印象を受けました。もう少し傍証が欲しいところです。それと中華人民共和国になって数十年の阿片禍をたった三年で終息させたと言いますが、その過程があまりにも表面的で説得力に乏しいものとなっているのは残念なところです。