罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

偽満州国論

『偽満州国論』読了。


満州国の通史とか裏面史のようなものを期待して読み始めましたが、むしろ本書は「近代国家論−満州国を素材として−」といった感が強いものでした。なので、いわゆる中国史専攻の人には、なかなか歯ごたえのある一冊ではないでしょうか。満州の「州」を「洲」にしないのは何故なのか、というのはおくとして解説で永江朗氏が言うように「近代国家や共同体について考察する試み」というのが本書の狙いなのでしょう。


吉本隆明などを引き、ほとんど満州国とは関係ない部分が紙幅の半分以上を占めていて、結局のところ満州国ってどんな国なのということが見えてこなかったのは、あたしの読解力に問題があるのでしょうか。