罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

現代中国の禁書


『現代中国の禁書 民主、性、反日『(鈴木孝昌、講談社+α新書)読了。


中国のメディアに自分の信念を一度は発表できたものの、その後当局により発禁とされた人々へのインタビューを中心としたノンフィクション。著者は長らく香港、北京で新聞社の局長として取材に当たり、表面だけではなく、その裏にある事情・状況にもきちんと目配りの届いた文章だと思います。即今の中国ものといえば極端に右か左にぶれているものが多いのですが、その点で本書は非常に公平な感じがします。なので、ぶれている書籍になれてしまった人には物足りないのかもしれませんが、現在の日中関係は庶民も含め、双方ともに頭に血が上った状態ですので、こういう冷静な意見にもっと耳を傾けるべきだと思います。


惜しむらくは、こういうバランスのとれた本だからこそ、もっと現在の日中関係に対する見解に紙幅を裂いてもよかったのではないかなと思います。