罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

中国 大国の虚実

中国 大国の虚実』読了。


先に読んだ『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』が、いわゆる「反日」活動家へのインタビューを中心にまとめているの対し、本書は日本経済新聞の紙上連載特集記事ということもあり、中国全般にわたる内容でした。そのため、一つ一つの事柄に対する掘り下げが足りないように感じてしまうのはやむを得ないでしょう。


論調は、取り立てて反中でも嫌中でも、はたまた親中、媚中でもなく、むしろ経済活動やマクロな数字をもとに淡々と叙述が進んでいく感じです。もう少し個々人の肉声に触れてみたいと思ってしまうのは最初にも書いたように『反日とは…』を先に読んだからだと思います。


それでも、日経だから仕方ないのかもしれませんが、中国の政治動向にももう少し目配りがあってもいいんじゃないかな、という気がします。


ただ、ほとんど先進国と変わらない沿海地区のイマドキの起業家ばかりを追ったのではなく、さまざまな階層の人々を過不足なく取り上げているな、という感じはします。この先、いやおうなく世界経済に取り込まれて行くであろう中国の現在をレポートしたものですから、アメリカを中心とした欧米の見方にも触れているのは当然ですが、そのあたりをもう少しふくらませてもよかったのではないでしょうかね。