罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

中国10億人の日本映画熱愛史

中国10億人の日本映画熱愛史—高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで』読了。


中国映画の本ってのは、決してないわけではなかったですが、この本は中国に於ける日本映画の受容史とでも言うべき内容であるところに特色があります。中国で高倉健中野良子が人気であった(ある)のは知っていましたし、コン・リーがデビューした頃に「中国の山口百恵」と言われていたことも覚えています。


そういう断片的な知識を持っている人ってのは日本にもかなり多いと思いますが、本書を読めば、何故人気があったのか、中国で受け入れられたのかがよくわかります。


ただ、筆者の関心がそうであるからなのか、高倉健が人気を得た、文革直後の日本映画需要については社会背景なども含め非常に中身の濃いものになっていますが、民国以来の中国映画史や最近のドラマの需要などについては紙幅の関係もあるのか、今ひとつ突っ込みが足りないというか、掘り下げて欲しいといううらみが残ります。


あくまで「映画」に焦点を当てていますので仕方ないと言えばそれまでですので、映画に変わル、昨今のドラマの受容史について、次の一書を期待します。


個人的な体験で言えば、私もこの十年来毎年のように中国へ行ってます。晩にホテルの部屋で現地のテレビ番組をボーッと見ていますが、かつては本当に日本のトレンディードラマの放映が多かったです。それこそ、どこを回してもやっているという感じでした。それがこの数年はほとんど見られなくなり、韓国のドラマが主流となりました。本屋などのDVD(ビデオCD)コーナーでも、日本のドラマより韓国ドラマの方がたくさん並んでいます。


そういう体験があるからこそ未来の姉妹篇「ドラマ熱愛史」に期待したいところです。