罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

確か買ってあったような……

本日の朝日新聞に載っていた広告です。CSの衛星劇場で来月から中国時代劇「鬼谷子」がスタートするというお知らせです。

鬼谷子ってご存じでしょうか? 実在すら疑わしい、中国古代の思想家です。諸子百家の一人と言えばそうなのですが、現在伝わっている『鬼谷子』という書物も、伝説の鬼谷子に名を借りた後世の作品です。そもそも、中国古代史などに造詣が深い人であれば知っているかも知れませんが、一般の方にはほとんど知られていない歴史上の人物になります。

そんな鬼谷子の生涯を描いたドラマ、中国で作られるのはよいとして、それが日本のCS放送で放映されるなんて、ちょっと驚きです。もちろん、あたしのような中国史好きにとっては狂喜乱舞のことですが、は多々して一般の視聴者の受け止め方はどうなのでしょう?

ちなみに、『鬼谷子』は日本ではまとまった翻訳は出ていなかったと思います。中国でも『論語』や『老子』『史記』『三国志』といったメジャーな古典に比べあまりにもマイナーすぎて、原書と呼ばれるものも出版されていなかったと思います。

その後は、ポツリポツリと現代中国語訳や注釈などを加えたものが中国大陸で出版されるようになりましたが、数はそれほど多いとはいなかったと思います。マイナーだからこそ、これから研究を進める伸び代があるとも言えますが、研究を進めるほどの材料が揃っているのか否か……

かくいうあたしも、以前、そんな現代中国語訳の『鬼谷子』を買っていたはずなのですが、書架を見ても見つかりません。どこかへ紛れ込んでしまったのか、あるいは買ったと思ったのはあたしの思い込みで、実際には購入していなかったのか……