罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

80年たっても?

真珠湾攻撃から80年ということで、朝日新聞に「日米開戦80年 日系人の記憶」という記事が載っていました。日米開戦を受けて米国の日系人が強制収容されたという史実を丹念に掘り起こしている人のルポです。

日系人の来歴はそれぞれでしょうが、帝国日本の先兵になっていたつもりなど皆無でしょうし、どうして自分たちが収容されなければならないのか理解できてもいなかったのではないかと思います。戦争の犠牲者ですね。

そんな記事から思い出されるのは、『アメリカの汚名 第二次世界大戦下の日系人強制収容所』です。

太平洋戦争中、敵国日本にルーツを持つというだけの理由で、12万人もの日系アメリカ人が劣悪な環境の収容所に隔離された。本書は、アメリカ人ジャーナリストが、自国の戦時ヒステリーが引き起こした「醜態」の一部始終を描いたノンフィクションである。マイノリティー問題の一つとして謝罪と賠償だけで片づけるのではなく、国家としてのアメリカが自国民に対してどのような仕打ちをし、それを追認・黙認してきたのか、自分たちの歴史として意識し続ける必要があるというのが著者のスタンスだ。突然、日常から切り離され、収容所へと送られていく悲惨さや、収容所内における一世と二世との確執など、生存者へのインタビューのほか、私信や回想録、公的資料から積み重ねられるエピソードの数々は、微に入り細をうがち圧倒的である。人種差別、排外主義、恐怖と表裏をなす報復感情……アメリカ史に連綿としてある暗部を暴きながら、冷静に事実を見据え、アメリカ社会の光と影を浮かび上がらせた力作。そこには当然、アフリカ系をはじめ、イスラーム教徒らマイノリティーに対して同じ行為を繰り返しはしないかと自問する姿勢が見て取れる。

本書の内容は上掲のようなものです。そう、日系人ってアメリカ人なんですよね。つまりは自国民なわけです。しかし、日本も国内で朝鮮人や中国人に対して同じことをしていなかったのだろうか、と考えさせられます。