罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

最後は本当に助かったの?

映画「ゴーストランドの惨劇」が配信されていたので視聴しました。前々から映画レビューサイトでの評判を読んでいたので、機会があれば一度は見て見たいと思っていた作品です。そして、多くのレビューにあるように「ゴーストランドの惨劇」というB級感丸出しのタイトルで損をしている作品だと思います。

本作は、ジャンルとしてはホラーに分類されがちですが、悪霊とか悪魔が出て来るわけではありません。もちろん呪いとか怨念もありません。むしろ現実に十分に起こりえるストーリーだからこそ怖い、というタイプの作品だと思います。

レビューを読んでいたので、どんでん返しがあるということはわかっていました。前半の作家として成功する主人公の満ち足りた生活が実は現実逃避の妄想だということもわかって見ていましたが、そちらの世界が輝いていれば輝いているほど、現実世界の辛さが際立ちますね。そして、姉妹で一度は逃げ出してパトロール中の警察官に保護されるところは、パトカーが行ってしまったかと思いきや戻ってくるという、ちょっとしたどんでん返しでもあり、しかし、助かった安堵感も束の間、警察官が犯人に撃たれ、姉妹はまた連れ戻されてしまうというどんでん返し。そして妹はまた現実逃避の世界へトリップしてしまいますが、辛うじて踏ん張って現実世界へと舞い戻り犯人たちに立ち向かうわけです。

しかし、所詮は女性のか弱い腕力では犯人にかなうわけもないところ、警察官が撃たれる前に無線で本部へ通報していたことが幸いし、姉妹を助けに来た警察官によって犯人たちは射殺され、こんどこそ姉妹は無事に救出させるのです。ただ、ここまでどんでん返しを見せられてしまうと、本当にこれが現実世界なのか、姉か妹どちらかの妄想世界の話なのではないか、という気もしてきます。

それと、二人組の犯人、最初に襲撃してきてから十数年、ずっとあの屋敷で姉妹を監禁しながら暮らしていたのでしょうか。監禁しながら周辺へ出かけて行って別な犯行を繰り返していたのでしょうか。十数年も監禁していたのに、最後の最後、些細に油断からあっという間に踏み込まれて射殺されてしまうなんて、ちょっと間抜けすぎませんか。