罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

慶祝ムードなわけだから……

今朝の朝日新聞中西進さんが「令和」について語ったという記事が載っていました。

中西さんは「令和」の生みの親ではないかと噂される万葉集の大家、その方が新元号発表後初めて公の場で万葉集や「令和」について語ったわけですから、誰もが注文したところでしょう。

記事を読む限りポイントは二つ。「令和」の「令」については「辞書には『令は善なり』と書いてある。令と言えば善いことだ。こんなにすばらしい字はない」と語り、「命令」の「令」という解釈を退けています。

もう一点は、中国古典『文選』の影響について、両書に出てくる「令和」について「同じものだと考えるのは理解できない」と語ったそうです。

まあ、『万葉集』専門家のおっしゃることですから、あたしごときがとやかく言う筋合いではありません。しかし、この記事を読んで思い出されるのは数日前の、やはり朝日新聞に掲載された中国思想専門家の意見です。

なんとなく、朝日新聞的には《中国専門家が異を唱えている》といった流れにしたかったのかもしれませんが、小島さんの意見も中国古典を素直に解釈すればというだけのことで、別段、新元号に文句を付けているわけではありませんし……

折角、世の中がなんとなくめでたいムードに包まれているときに、国文学者と中国文学者が本家争い的なことをするのはみっともないですし、そもそも専門家はそんなことしてはいないのに、世間は日中の争いのように見たがるのでしょうか? これも昨今の日中関係が冷めていることの影響なのでしょうか?