罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

いよいよ今週末からです

今週末から映画「人間失格」が公開になります。

この作品、タイトルからもわかると思いますが、太宰治の物語です。太宰治と三人の女性の愛憎劇のようです。ただし、この映画自体に原作本はないようで、もし書店店頭で映画関連のフェアをやるのであれば、あたしの勤務先から出ている『三つの空白 太宰治の誕生』も是非加えていただきたい一冊です。

本書は「数ある先行書籍があまり指摘してこなかったこの「空白期」にスポットを当て、そこから新たな作家像を探ろうという意欲的な試み」で、タイトルにもあるように太宰治には空白期が三回あるそうなのです。そして、

第三の空白は昭和10年鎮痛剤中毒に陥って苦闘生活が続き、井伏鱒二の紹介で石原美知子と結婚するまでの時期。この三つ目の空白を経て、結婚を機に生活を建て直し、「富嶽百景」に始まる明るい佳品が生まれる

のだそうです。ここにある「石原美知子」は映画の中では宮沢りえ演じる「津島美知子」で、もちろん映画のメインキャストの一人です。映画を見てから本書を読むか、本書を読んでから映画を見るか、いずれにせよ相乗効果が期待できるでしょう。