罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

世間の常識とわが家の常識

連載が修了したという人気コミック『鬼滅の刃』ですが、あたしはこの「鬼滅の刃」という言葉を知りませんでした。いや、正確に言えば、いま現在は知っていますし、それが人気コミックのタイトルだということもわかっているのですが、この言葉を知ったのはせいぜい半年くらい前のことです。

書店に営業に行ったとき、コミックの『鬼滅の刃』が発売日だったかで結構賑わっていて忙しそうな感じだったのでどうしてなのか問うたあたしに書店の人が「鬼滅の刃を知らないの?」という顔で教えてくれたのです。いやー、ちょっと興味の対象外だと、同じ出版という世界にいながらまるで知らないことだらけです。恥ずかしいところです。

ちなみに、その『鬼滅の刃』ですが、いまのあたしはその言葉を知っただけで、そこから少しの進歩も知識の増加も遂げていません。たぶんというか絶対にイラストを見せられてもわかりません。もちろんどんなストーリーなのかも知りません。キャラクターの名前一つ知らないです。

そう言えば、やはり人気の『ワンピース』も読んだことはなく、かなり最近になるまでそのキャラクターを知りませんでした。いまも「ルフィ」という登場人物がいる、どうやら主人公らしいという程度の知識しか持っていません。

いずれにせよ、渋谷あたりで高校生に聞けば「そんなの常識でしょ?」と鼻で笑われそうなことですが、それがあたしの常識なのです。

そして、これはつい数日前のことです。朝の情報番組でクイズを出していました。テレビのリモコンの4色のボタンを押して答えるタイプのもので、朝の暇つぶしに母がよく挑戦しています。

その日は在宅ワークであたしが自宅にいて一緒に見ていたのですが、問題は次のようなものでした、ヨーロッパで大流行したペストは、何と呼ばれていたでしょう。答えはもちろん「黒死病」です。

問題は三択で、「黒死病」の他の選択肢は「亡国病」と「悪魔病」でした。母は自信満々なのか適当なのかわかりませんが「悪魔病」を選んでいました。あたしは驚いてしまいました。ペストが黒死病というのは常識ではなかったのか?

いや、これこそ先程とは逆に渋谷で遊んでいる高校生に聞いたら正答率はどのくらいになったでしょうね。しかし、わが家の常識がある分野に関しては世間の常識とあまりにも差がある、懸隔があるということに気づかされたエピソードでした。