罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

なんとなく不思議な縁を感じます

来る7月5日は明石海人の生誕120年です。

たったいま「生誕120年」と書いたので「明石海人」が人の名前だとわかっていただけたと思いますが、そうでなかったら「明石海人」という四文字を見て、どのようなことをイメージされたでしょう? いや、それはちょっとバカにしすぎですかね。

身近なところでは、岩波文庫に『明石海人歌集』がありますが、岩波書店のウェブサイトを見ると現在品切れのようです。残念です。

ウィキペディアにも立項されているほどの著名人ではありますが、現在の日本ではそれほど馴染みのない人物かも知れません。

岩波文庫のタイトルからもわかるとおり明石海人は歌人で、ハンセン病を患い、38歳で亡くなりました。死後に出版された歌集の『白描』はベストセラーになったとウィキペディアに書いてあります。

当時のことですから、ハンセン病患者は隔離されます。明石海人も各地を転々とし、最後は岡山の長島愛生園で亡くなったそうです。

そんな明石海人の評伝を、あたしの勤務先では出していまして、それが『幾世の底より 評伝・明石海人』です。重厚な一冊です。これを機に本書を少しでも世に広めるべく営業したいと思います。

ところで、この明石海人の出身は静岡県沼津市です。なんと妹家族の住む、あの沼津です。これはなんといえぬ縁を感じます。もちろん、妹家族は誰も明石海人の名を知らないと思いますし、沼津市に彼の記念館があるという話は聞いたことがありません。辛うじて歌碑が建てられている程度のようです。