罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

この二点はペアで売りたいですね!

少し前に中公新書の『物語チベットの歴史 天空の仏教国の1400年』を読み終えました。中国共産党の弾圧などチベットの状況は、お隣のウイグルと共に悲惨な状況になっているようですが、そんなチベットだからこそ、まずはその歴史を簡便に知りたいと思って手に取りました。

チベット人の名前に少々苦戦しましたが、非常にわかりやすい記述で、チベットのこれまでが少しは理解できたと思います。それにしても、その過半は大国に翻弄された歴史なんですね。それでも民族の誇りと伝統、そして文化を失わずに歩んできた道のりに畏敬の念を覚えます。

とはいえ、中国共産党による、真綿で首を絞めるような弾圧は徐々にチベット固有の文化を奪っていっていると感じます。多少の武力(暴力)を伴いつつも、これぞ共産党が西側に対して使う「和平演変」ではないかと思われます。

そんなチベットの歴史、同書を読んでいて実は一番興味を惹かれたのはダライ・ラマ六世です。一見すると破戒僧のような人のようですが、それでもチベットの人々からは絶大な支持を得ていたようで、チベット文化の不思議さを感じます。と、そんな風に思っていたら岩波文庫から『ダライ・ラマ六世恋愛詩集』なんて本が刊行されているではないですか。

中公新書を読んだ人の多くがこの岩波文庫も買ってしまうのではないでしょうか。逆に岩波文庫を読んだ人なら、改めてチベットの歴史をやダライ・ラマ六世とその周辺のことが知りたくなって、中公新書に手を伸ばすのではないかと思います。