罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

本当に持続可能なのかしら?

東京メトロ溜池山王駅構内に「ほんたす ためいけ」という無人書店がオープンしたことが話題になっています。テレビなどでも紹介されているのを見ましたし、ネットでも取り上げている記事を何本か読みました。そんな中のこの記事

記事のタイトルは「持続可能な新しい書店モデル、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」がオープン」です。とにかく景気が悪く、閉塞感の漂う出版業界なので、何か新しいことを試みるのは基本的によいことだと思います。いろいろ試してみて、ダメだったら修正する、よかったら更に伸ばす、それを根気よく続けていくしかないのでしょう。

人手不足もありますが、あまりにも利幅の少ない書籍という商品。人件費や家賃(テナント料)が書店にとって大きな負担となっていることは周知のことでしょう。そこで思いきって無人にしたというわけですが、時々は商品の補充に誰かがやって来るのでしょうから、完全に無人というわけでもないでしょう。

記事の中に

現代の人々のライフスタイルに合った本との新たな出会いを提供し、人々のニーズを満たす

という文章がありましたが、無人の書店でライフスタイルに合ったものをどうやって提供するのでしょう? 人のスタイルは十人十色ですから、限られたスペースで展開するには、ある程度こちら側で選別したものを並べることになると思います。そうなると「新たな出会い」とか「人々のニーズ」といったものにどのくらい応えられるのか、なかなか難しいのではないでしょうか。

であるならば、ネット書店の方がはるかに豊富な在庫を取り揃えているので、「ライフスタイルに合った」ものを提供できるでしょうし、出会いの機会も多いと思いますが、そのあたり、ニーズをどうやって判断するのでしょう。売れたものの傾向はデータ収集できると思いますが、お客さんがどんな本を手に取っていたか、どの棚の前に長くいたのか、そういう肌感覚をつかめるのがリアル書店のアドバンテージだと思いますが、無人書店だとそんな肌感覚はどうやって集めるのでしょう。

なにはともあれ、しばらくは推移を見守るしかないでしょうね。