罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

世界最大級の……

わが家の書架には『『大漢和辞典』を読む』という本が並んでいますが、そのお仲間が登場です。

日本が世界に誇る『大漢和辞典』に関する書籍が刊行されました。『『大漢和辞典』の百年』です。1955年の刊行ですから、100年まではちょっと時間があります。

でも、これだけの辞典ですから、作業を始めたときから数えれば、100年以上の月日が経っているのではないでしょうか。あたしも勤務先で『中国語辞典』の編集に少しだけ携わったので、刊行までの準備期間と言いますか、助走期間と言いますか、とにかくメモを取り、カードを作り始めるところからの、気の遠くなるような作業については多少の理解があるつもりです。

あたしが学生のころは、紺色っぽい装丁ではなく、白地に金文字、少し判型も大きくなった版が刊行を開始したので、あたしは毎月の刊行のたびに、アルバイト代をつぎ込んで購入していました。それが左の写真です。

この版は十二巻+索引まで完結した後に、補巻と語彙索引が刊行されまして、もちろんそれも揃っています。当時はまさしく世界最大の漢和辞典だったと思います。ただ、その後、中国から『漢語大字典』『漢語大詞典』が相継いで刊行され、何を以て世界最大と呼ぶのかは議論の分かれるところではありますが、「世界最大」ではなく「世界最大級」と称するようになったと記憶しています。中国の二つの辞典は、そしてたぶんその後にもいくつか中国で大型の辞典が刊行されていると思いますが、いずれも『大漢和辞典』をものすごく意識して作られていたはずです。