罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

文庫本が刊行されていると親しみやすい?

前のダイアリーで、今日がショーペンハウアーの没後160年にあたると書きました。そして架蔵している『ショーペンハウアー全集』をご紹介しました。

でも、あたしが最初にショーペンハウアーと出会ったのは学生時代に岩波文庫です。『読書について 他二篇』『自殺について 他四篇』『知性について 他四篇』の、比較的薄めの岩波文庫を買って読んだのが最初です。薄いので取っ付きやすいと思ったのも理由の一つですが、この三冊のタイトルに惹かれたのが一番の理由です。その伝記と言いますか、生涯についても実はほとんど知りません。

当時、すべてを読んで理解できたかと問われると自信を持って「はい」とは言えません。いや、いまだに理解できているとは思えませんし、そもそもショーペンハウアーの思想がどんなものなのか、思想史・哲学史での位置もわかっていません。

多くの人が、あたしと同じように思っているわけではないと思いますが、ショーペンハウアーってそれなりに人気があるのでしょうか? 岩波文庫と比べると比較的最近になって古典新訳文庫から『読書について』『幸福について』が刊行されました。

やはり薄めですので、手に取りやすく読みやすい分量だと思います。難解な哲学の本と思われていても、比較的分量が少なければ「読んでみよう」と思う人がそれなりにいるはずです。短ければ簡単で長ければ難しいというものではありませんが、それでも最初のハードルが低いのは普及には重要なポイントだと思います。

何はともあれ、手に取ってもらわなくては読んでもらうこともできません。読んでもらえなければ、その思想がどんなものなのかも理解されません。こういう分量で文庫が出せるというのは、ショーペンハウアーのアドバンテージではないでしょうか?