罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

ちょこちょこと顔を出しているようで……

中公新書の『リバタリアニズム』を読み終えるところです。

ところで、この本を読んでいると、あたしの勤務先の書籍がちょこちょこと顔を覗かせているような気にさせられます。

たとえば、9頁には「海賊党」という言葉が出てくるのですが、あたしの勤務先からは『海賊党の思想 フリーダウンロードと液体民主主義』という本を出しています。

同書は、ヨーロッパで勢力を伸ばしていると言われる海賊党というものに迫ったノンフィクションですが、これがアメリカのリバタリアンとどう関わってくるのでしょう?

次に、41頁には「グローバル・トリレンマ」という言葉が出て来ます。

これは言わずと知れたロドリックのロングセラー、『グローバリゼーション・パラドクス  世界経済の未来を決める三つの道』で主張されているところです。

リバタリアニズム』で解かれているグルーバル・トリレンマは「グローバル資本主義・国家主権・民主主義の不整合」を指していますが、『グローバリゼーション・パラドクス』ではそれを「現今の世界情勢は、グローバリゼーションと国家主権、そして民主主義を同時に追求することを許さず、どれか一つを犠牲にするトリレンマを強いている。教授はこうした基本認識に立ちながら、国家主権と民主主義を擁護するとともに、無規制なハイパーグローバル化に網を掛けることを提言する」と述べているわけです。

リバタリアンはこの三つのどれを選ぶのでしょう?

そして最後、80頁には「鉄のカーテン」という言葉が使われています。これはまもなく刊行予定の上下本のタイトル『鉄のカーテン』です。こちらは

第二次世界大戦終結から、スターリンの死、ハンガリー革命に至るまでの時代に、ソ連がいかに東欧諸国(主に東独、ポーランドハンガリー)を勢力下に収め、支配していったのか、そして各国がいかに受容し、忌避し、抵抗していったのか、その実態をテーマ毎に論じた力作

です。