罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

一括りには出来ない三冊

昨日、2月27日は国際ホッキョクグマの日だったそうです。

あたしの勤務先も『ホッキョクグマ 北極の象徴の文化史』という本を出していますので、Twitterでは少し前からちょっと盛り上がっていたようです。

なにせ、地球温暖化といえば北極や南極の氷が溶ける、そうなるとそこに住む動物たちも絶滅の危機に瀕する、ということで、この数年、そういう文脈からもホッキョクグマが注目されているようです。

ところで日本人の多くは「ホッキョクグマ」ではなく「シロクマ」って呼んでいますよね。鹿児島の名物も確か「シロクマ」ではなかったでしょうか? あれ、正式には「しろくま」でしたっけ?

ところで、勤務先のTwitterが盛り上がっていると書きましたが、つい最近は『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々』という本を出したばかりです。

こちらは副題を見てもわかるように、決して動物の熊をテーマにした本ではありません。あくまでそれは象徴的なものであり、書籍の内容は冷戦下、東ヨーロッパの人々を追ったノンフィクションです。

とはいえ、副題を見落としてしまうと、クマの写真のカバーから熊の曲芸に関する文化史の本だと思ってしまう方もいそうです。確かに、本書にそういう一面がないわけではありませんが、少なくとも書店の「動物」の棚に並ぶような本でないでしょう。

むしろ「熊の文化史」というのであれば『熊 人類との「共存」の歴史』の方がドンピシャです。

人を襲うこともあれば、飼い慣らすこともでき、食料として捕獲されもしてきたクマの人類とのかかわりを描いた一冊です。

ところで、ホッキョクグマこそ住んでいないですが、日本人にとっても熊は比較的身近な存在です。ここ数年は民家の庭先に現われたというニュースをしばしば目にします。北極と深刻さの度合いは比較できませんが、熊の生息環境が脅かされているという意味では、どちらも共通のことだと思われます。