罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

確かに戦いは続いていた

後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線』読了。

刊行前にネット情報などで「後期日中戦争」というタイトルだけを見た時は、日中戦争に前期も後期もあったっけ、と感じたのが正直なところです。いわゆる満洲事変や盧溝橋事件を経て泥沼の日中戦争にはまり込んだということまでは多くの日本人も知っている歴史でしょう。

ただ、著者も書いているように、太平洋戦争が始まるとフォーカスはそちらへ移ってしまい、太平洋や東南アジアでの戦いが語られることばかりで、その間、中国ではどんな戦いになっていたのか、きちんと説明できる人は少ないでしょう。かくいうあたしも、その後も日中戦争は続いていて、武器弾薬や糧食の補給もままならず、中国軍の術中にハマって奥地へ奥地へと引きずり込まれていた、という漠然としたことしか知りませんでした。

まあ、その知識に誤りはないのですが、こうして改めて戦いの模様をたどってもらうと、やはり日本軍のバカさ加減が痛感されます。兵たちには申し訳ないけれど、どうしてこんな事に命を捧げたのか、無駄に命を捨てることになったのか、そんな気持ちにさせられますし、そのとばっちりを受けた中国の民衆は本当に気の毒です。やはり戦争は悲劇でしかありませんね。