罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

もう少し怖がらせて欲しかった

韓国映画を2本見ました。どちらもホラーですが、その感想を。

まずは「ヨコクソン」です。

かつての映画のリメイクだそうですが、もちろん以前の映画は見ておりません。

悪霊に祟られて、その家の息子が次々と新婚初夜の晩に殺されることが続き、とうとう三男の息子の嫁として、下男の嫁にするために連れてこられた女性が生け贄的に三男の嫁とされます。しかしその甲斐もなく三男もやられてしまいますが、この女性が妊娠をしたことから、その名家の跡取りを生むかもしれないとして立場が強くなります。

しかし陰湿な姑(なおかつ後妻)、長男と次男の未亡人も屋敷には残っていて、そもそも悪霊とは関係なく人間関係がドロドロしています。そんな感じで進んでいくのですが、結局この家に祟っている悪霊の正体は、気がふれて倉庫に監禁されていた主人がかつて妾として弄び惨殺した女だったというわけです。つまり、すべてはこの家の主人が悪いわけです。因果応報です。

そんな血を引いているわけですから、たぶん似たり寄ったりの性格だと思われる息子たちも恨みを買ってしまったわけですね。三男の嫁にされた女性(少女と言った方がよいのかしら?)は多少の霊感があるみたいで、なんとか悪霊と対決し身を守るのですが、お腹の中の子供が悪霊に既に取り憑かれている、かのようなエンディングでした。

悪霊ものと言っても、この屋敷に関して言えば身から出た錆なので、悪霊の方に肩入れしたくなります。もっとおどろおどろしいものを期待したのですが、そもそも悪霊の来歴が数年か十数年前程度の出来事ですから薄っぺらく感じました。

二本目は「モクソリ」です。

なんとなく、見覚えがあるようなストーリーです。

バカで軽薄な若者が軽いノリで行動して破滅していく、アメリカ映画にありがちです。ここにアジア的なテイストとしてドロドロしたものがもう少し付け加わっているのであればよかったのですが、そのあたりはあっさりしていましたね。主人公の他にもう一人女の子が出て来ます。他の映画であればもっと自分勝手で周囲を振り回す役回りだと思うのですが、そこまでイヤな奴ではありません。

主人公の少女も、たぶん何らかの理由で命を落とした親友にとらわれすぎていて、親友の声が聞こえるのも空耳なのか本当に親友からのメッセージなのか疑問です。主人公の身を案じ、そっちへ行ってはいけないと警告しまくりだったのに、最後は主人公を連れて行ってしまうなんて腑に落ちません。それにその親友ってなんで死んだのでしょう? その死に主人公は関わっていませんよね? 主人公の罪の意識の描き方も中途半端でした。

まあ、韓国の若者って、いろいろいっぱいいっぱいで息苦しい社会を生きているんだなあという閉塞感は十分伝わってきましたけど。