罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

今日の配本(22/04/28)

運命論者ジャックとその主人[新装版]

ドニ・ディドロ 著/王寺賢太田口卓臣

脱線に次ぐ脱線。主人は聞けるか、ジャックの恋の話――旅する二人と出会う人びと、首を突っ込む語り手らによる快活、怒涛の会話活劇。

地獄の門

モーリス・ルヴェル 著/中川潤 編訳

人生の残酷や悲哀、運命の皮肉を短い枚数で鮮やかに描き、ポーやヴィリエ・ド・リラダンの後継者と称されたルヴェルの残酷コントは、20世紀初めのフランスで絶大な人気を博し、本邦に紹介されて江戸川乱歩夢野久作らも魅了した。第一短篇集『地獄の門』収録作を中心に、新発見の単行本未収録作を加えた全36篇を新訳で刊行。

後期ローマ帝国史Ⅰ 帝国の勝利

マイケル・クリコフスキ 著/阪本浩 訳

本書は、ハドリアヌスからユリアヌスまで、2~4世紀を年代順に、人事と権力闘争、外敵との戦いを扱った政治史である。共和政期、帝政前期の政治史については、日本語で読める文献も多く、皇帝の伝記もある程度揃っている。しかし「危機」の時代と呼ばれる3世紀については、ギボン『ローマ帝国衰亡史』を除けばきわめて少ない。本書はそれを補う、碑文学・古銭学を駆使し最新の研究成果を反映した通史であることに加え、著者はこの時代を「衰退」の時代、「滅亡」へと向かう過程ではなく、多くの失敗もあったが数々の改革を試み、内外の危機に見事に対応した勝利の時代として描いている。