罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

たぶん本人は何も意識していなかったと思うのですが……

先日の「乃木坂工事中」で、乃木坂46の五期生がヒット祈願として富士山登頂に挑みました。五期生は全部で11名なのですが、メンバーの一人、岡本姫奈が、たぶんコロナ陽性になってしまったタイミングだと思うのですが、参加できず10名での登頂チャレンジとなりました。

結論から言いますと、見事に五期生10名全員での登頂に成功、さらには剣が峰にまで行くというおまけ付きでした。過去に一期生、四期生が挑んでいますが、必ず脱落者が出てしまっていましたが、五期生はよく頑張りましたね。「乃木坂工事中」は30分番組で、過去の富士登山は前後編二回で放送されていたと記憶していますが、今回はなんと一回で終わり。そのぶんダレることなく見られたとも言えます。登山って、途中はみんな無口になってしまうので、思ったほど撮れ高がないものだと思います。

ところが、今回の富士登山YouTube「乃木坂配信中」で完全版として、地上波放送に倍するVTRが公開されました。最初からネット公開のつもりだったのか、本当は二回に分けて放送するはずが、他の企画との関係で一回にされてしまったのか、そのあたりの事情はわかりませんが、ファンとしては嬉しい限りです。

内容についてはともかく、あたしはこの「完全版」の方を見ていて、ふと思ったことがありました。それは井上和の発言です。ちなみに「井上和」は「いのうえ・なぎ」と読みます。現時点では五期生のエース格メンバーです。

気になった発言というのは、一期生和田まあやの卒業を受けて、自分がもし「和田」という姓だったら「和田和」になってしまうと思ったと言うのです。上から読んでも下から読んでも「和田和」になると盛り上がりつつ、「わだなぎ」だったら下から読んだら「ぎなだわ」だよと突っ込むメンバーもいて、井上和が「漢字で書いたらだよ」と返していました。

これだけならたわいもないメンバー内のやりとりなのですが、このやりとりの中で井上和が「もしわたしが和田という姓の人と結婚したら和田和になるんだ」と言ったのです。この発言も五期生メンバー内ではそれほど突っ込まれることもなく「あっ、そうだね」という空気でした。

でもあたしは思ったのです。いまどきの若い子でも、特に女の子が結婚したら自分の姓が変わる、旦那さんの姓に変わるというのをふつうだと思っていることです。冗談っぽくならありますが、男子であれば姓が変わるという発想はほぼ出て来ないものです。女子特有の感覚なのかなと思います。そしてそれは、結婚したら女性は男性の姓に変えるものだという日本社会の暗黙の了解が強く深く根を張っていることを表わしているのではないか、と思ったのです。

今の時代、夫婦別姓が議論されるようなご時世であり、働く女性が結婚して姓が変わるのは何かと不便だと言われている時代に、こんな若い子が特に疑問を持つでもなく、結婚したら姓が変わると思っていることが、ある意味新鮮でした。

いや、たぶん本人はそんなに難しいことを考えていたわけではないと思いますし、こういう社会の傾向を話したらまた別の反応を示すのかもしれませんが、何も意識していない発言だからこそ日本女性に深く浸透してしまっている宿痾のようなものをあたしは感じました。