罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

本は安すぎるのでしょうか?

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。文庫本をはじめとした本の価格が上がっているということです。

これは事実です。いろいろ物の値段が上がっているのは周知の事実ですが、出版界も例外ではありません。わかりやすいところでは、紙の値段が上がっているので、本の値段も上げざるを得ません。

これまで安いと思われてきた文庫ですと、値上がりは特に目立つのでしょう。文庫に隠れているわけではありませんが、新書もかなり値上がっていますし、もちろん単行本も同様です。

記事では、ある編集者の話として「ソフトカバーにすれば紙代と製本代を抑えられ、100~150円は本体価格が下がる」とありますが、価格を下げることばかり考えていると利益が確保できなくなるので、それはそれで問題です。とはいえ、高くなりすぎると売れなくなりますし……

ただ、1000円前後の本であれば100円の違いは大きいでしょうが、3000円以上になったら100円や200円の違いなどあってなきがごとくだと思います。そこで無理に安くする必要はあるのだろうか、という気もします。本はそもそも安すぎる、というのは以前から聞かれたセリフです。確かにあたしもそう思っていました。

この一冊でどれだけの時間楽しめるのか、と考えたら、映画館で映画を見るのに比べて時間あたりではとても安い娯楽ではないかと思っていました。しかし記事の中にあった「1冊800円の文庫本を買うなら月額2千円で見放題の動画配信サービスの方にお金を使いたいと考える消費者がいてもおかしくない」という意見はちょっとショックです。確かに一定料金で見放題、読み放題のサブスクが広まると、物質としての本は、装丁も含めてそれを所有したいというところに訴えていかなければ生き残れないのでしょうか?