罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

記憶に残る愛の本

東京の西側、京王線沿線に展開する書店チェーン、啓文堂書店の店頭でこんな小冊子を配布していました。「記憶に残る愛の本」というタイトルで、各店でフェアを展開中のようです。

もともとは「記憶に残る本」というテーマで、昨年フェアを開催したところ好評だったので、こんどは「愛の本」に絞って「記憶に残る本」フェアPart2として開催していることらしいです。

愛なんて言葉、久しくどころか生まれてこの方使ったことがあるのでしょうか、というくらい愛に飢えているあたしには、なかなか魅惑的でもあり、切なく感じるフェアでもあります。

冊子を開くと各店が選んだ書籍が紹介されていて、コメントも載っています。どんなのが選ばれているのかは、店頭で展開しているフェアを見ればわかりますが、この冊子を見ればお店を離れても反芻することができます。

そんな店頭のフェアを眺めていて飛び込んできたのが、あたしの勤務先の刊行物、リディア・デイヴィスの『話の終わり』です。選んでくださった書店員さんの名前が明記されていないのが残念ですが、下高井戸店の選書です。ありがたいことです。

『話の終わり』は確かに愛をテーマにしていますが、果たして「愛の本」というタイトルでイメージするような「愛の本」なのでしょうか。いや、愛にはいろいろな形があるものです。「話の終わり」が描く世界も、一つの愛の形なのでしょう。と、愛とは無縁に半世紀以上を生きてきたあたしが語っても何の説得力もありませんが……

ちなみに、Twitterにもフェアの様子がいろいろアップされていますので、そのうちの一つ、吉祥寺店のつぶやきを引用しておきます。『話の終わり』は左下の方に並んでおります。