罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

読むべきなのはどれかと問われたら……

《エクス・リブリス》の最新刊『未来散歩練習』を読んでいます。

韓国の作家、パク・ソルメの作品で、《エクス・リブリス》では『もう死んでいる十二人の女たちと』に続いて二つめの作品です。この数年、出版点数が非常に増えている韓流作品の一つです。それにしても、これだけ韓流作品の翻訳が刊行されると、どれを読んだらいいのかわからなくなってしまいそうです。

そんな中、それほどたくさん読んでいるわけでもなければ、韓国文学に詳しいわけでもないあたしが、独断と偏見でお薦めの韓国文学作品を選ぶとするなら、迷うことなくこの二点です。

まずは『こびとが打ち上げた小さなボール』です。あたしが読んだのは単行本ですが、最近文庫になりましたね。手に取りやすくなったのではないでしょうか?

そしてもう一点が、『』です。これは晶文社の《韓国文学のオクリモノ》というシリーズの一冊です。こちらは文庫にはなっていませんし、単行本でも500頁弱もある大作です。

この二作品、とにかく圧倒的です。ノックアウトされそうになるくらいの力を持った作品です。「いやー、韓国文学ってすごいね」というのが、この二つを読んだ後の偽らざる感想でした。

韓流文学は『82年生まれ、キム・ジヨン』を筆頭に、女性の生きづらさとか、韓国社会の閉塞感を描いたような作品が多く紹介されていますが、この二作品は、あたしの印象ではそんな枠には収まりきらないスケールを持った作品だと思います。