罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

今夜も出さずじまいの手紙、君に綴るよ

書店の文具売り場で、こんなものを買いました。

一見すると、据え置きタイプの風鈴ですが、これ、実はグリーティングカードなのです。ですから、封筒も付いたかたちで売っていました。このように組み立てる前はペチャンコなので、そのまま封筒に入れ、宛名を書いて投函すれば、夏の挨拶に使えるというわけです。

ただ、あたし自身は誰かに出すことを目的として買ったわけではなく、音色が思いのほか涼しげだったので、自宅に飾ろうと思って購入しただけです。クーラーから出る風に揺られて、きれいな音色を奏でています。枠組みが壊れても、真ん中の棒とボールを取っておけば、風鈴としてずーっと使えそうです。

それにしても本来はグリーティングカードなわけですから誰かに出すのが正しい使い方なのでしょうけど、出すあてのない手紙と聞いて思い出されるのは、沢田聖子さんの楽曲「シオン」です。

この曲は、というか沢田聖子はあたしの青春時代そのものです。聴きまくりました。当時のアルバムはいまだに所持しています。この「シオン」は初期の名曲中の名曲で、歌詞の中に「今夜も出さずじまいの手紙、君に綴るよ」というのがあるのです。

この曲自体は、男の子が密かにシオンと名付けた女の子への淡い気持ちを歌った、甘酸っぱい青春の一曲です。何十回聴いただろう、ではすまないくらい聴いた曲です。