罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

一気読み

《エクス・リブリス》の新刊『シャルロッテ』読了。

これはすごい作品でした。久しぶりに一気に読み切ってしまった小説です。それくらいすごい小説でした。

いや、小説なんではありますが、ノンフィクションのような趣もあって、散文なんだけれど自由詩のような味わいもある、そんな作品です。短くて切れのよい文章の重なりが非常にテンポよく読ませます。

しかし、そんなことよりも内容がすごかった。ナチによるホロコーストを扱った作品ならそれこそ掃いて捨てるほどあるでしょう。あたしは不勉強でそれらのほんの僅か、数えるほどしか読んでいないと思います。ですから「この作品よりも魂を打たれる作品なんていくらでもあるよ」と言われたら返す言葉がありません。

しかし、それでもこの作品の持つ力、これはやはり読み終わった今、声を大にして言いたいです。そして、これも不勉強で、シャルロッテという稀有な才能を持った画家がいたことをこれまで知らなかった不明を恥じています。