罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

格好の手引き書、あります!

朝日新聞夕刊の紙面です。

見出しに「アール・ブリュット」という文字が見えますが、「アール・ブリュット」ってご存じですか? 聞いたことはあるけど、どういうものかと問われるときちんとは答えられない、という方も多いのではないでしょうか?

芸術ですから、実際の作品を見て自身で感じるのが一番なのは当たり前ですが、やはり知識とか周辺情報などを仕入れておきたいと思うのもごく自然なことです。というわけでご紹介したいのが文庫クセジュの『アール・ブリュット』です。

近年、アール・ブリュットの作品を展示する場が増えている。アール・ブリュットに特化した展覧会はもちろん、ベネチア・ビエンナーレ国際美術展でも紹介された。フランスでは、日本の作家を紹介する「アール・ブリュット・ジャポネ」が、二度にわたって開催されている。はたしてアール・ブリュットとはどういったものなのか。本書は、「アール・ブリュットを巡る考察集団」の創立メンバーで、臨床心理士ラカン派の精神分析家である著者が、その起源(第一章)、提唱者ジャン=デュビュッフェ(第二章)、定義(第三章)、概念がどう発展したか(第四章)、作品の素材やかたち(第五章)、愛好家やコレクターの心理(第六章)、近年のブーム(第七章)、作品を扱う美術館やギャラリー(第八章)、現代アートとの対話(第九章)など、さまざまな切り口で概説する。

同書の内容紹介は上掲のとおりです。新書サイズのコンパクトな紙幅で、「アール・ブリュット」について手際よくまとめられている一冊です。展覧会を見てから読むもよし、読んでから見に行くもよし、展覧会を見に行けないから本だけ買って読むもよし、まずは手に取ってみてください。