上下本の『トウ小平秘録』読了。
本書は、トウ小平の評伝とはいえ、記述が年代順ではなく、1989年の天安門事件を軸に説き起こされています。ですので、まず中国の現代史の流れがおおよそ頭に入っていないと、わかりにくいところがあるかもしれません。新聞連載だったからこそのやり方ですが、果たしてこういう単行本になった場合にどうなのでしょう? 私はあまり気にせずに読めましたが。
というような理由からかどうなのかわかりませんが、上巻に比べて下巻の方があっさりしている印象を受けます。毛沢東や周恩来に比べて、つい少し前まで生きていた人物ですから、資料も豊富で取り立てて目新しい地検というのは少ないです。それに、まだまだおおっぴらにできないこともあるでしょう。それらを勘案しますと、個人的にはもう少し、胡耀邦や趙紫陽とのかかわりを突っ込んで書いて欲しかったと思います。
それにしても、蠟小平にとって共産主義って何だったのでしょう? あれだけの大きな国をまとめて行くには、それが共産党である必然性はともかく、なんらかの独裁権力がないとすぐに立ちゆかなくなってしまう、トウ小平はそう思っていたのではないでしょうか。たぶん毛沢東も周恩来もそうだったと思います。胡耀邦や趙紫陽、胡錦涛はどうなんでしょうね。興味深いです。