罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

『インターネットと中国共産党』


『インターネットと中国共産党』読了。

なかなか面白いスタンスというか、著者の立ち位置の本だと思います。研究者というわけではなく、企業の駐在員でもないし、外交畑でもない。もちろんジャーナリストではありますが、いわゆる特派員とか駐在記者というのともちょっと違うわけです。

ある種、塀で守られた空間で暮らし、本当に庶民の中に入っていて体当たりルポをした、というわけではないけれど、いかにも中国共産党という組織の内面を、その不合理さやそうである正当性も含めて、見聞きした体験記です。

著者もそのあたりの、自分が特権的な場に所属していることを十分自覚していますし、だからこそのジレンマも行間から垣間見られます。本書の最後に登場する、エリートである人民網の正社員と,彼らの生活を支えるお手伝いさんたちとの対比が、現在の中国の縮図をよく表わしていたと思います。