今年に入ってすぐのころ、朝日新聞の読書欄で取り上げられて注文が殺到した『中二階』の重版が出来上がります。
紹介が出た時には在庫が十分あったのですが、あれよあれよという間に少なくなり、この一か月ほどは完全に品切れ状態でしたが、ようやく重版が出来上がりますので、あの時に入手がかなわなかった方は是非この機会にお買い求め下さい。
女優・浜辺美波のフォトエッセイ『夢追い日記』をゲットしました。
帯には「たちまち重版」と書いてありますので奥付を確認しましたら「2021年4月20日 第1版第1刷発行 2021年4月20日 第1版第2刷発行」とありました。刊行前重版したのでしょうかね。それだけ浜辺美波が人気ということなのでしょう。わかります。
本書は、地元、北國新聞に連載していた彼女のエッセイをまとめたもので、デビューしたての小山内彼女の写真もふんだんに載っています。
連載の紙面は、たぶん新聞ですから縦書きだったと思うのですが、本書には横書きの部分がかなりあります。本書も、基本は縦書きなので左開きの本ですが、その中に横書きの文章が混じっているのは、あたしには多少の違和感を感じます。
でも、若い人にはこういう横書きの方が読みやすいのでしょうね、ケータイやスマホ、パソコンも横書きですから。とはいえ、あたしのような古い人間には、視線の流れが本の流れに逆らうような感じがして、若干の読みづらさを感じます。縦書きや横書きが混じるのは、雑誌的な造りなのかな、という気もしました。
ところで、いまや大人気の浜辺美波ですが、多くの人が彼女を知ったのは「君の膵臓をたべたい」だったのではないしょうか? あたしは「きみすい」は見ていないのですが、実はその前の作品、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に出ていた浜辺美波を見て、「このカワイイ子は誰だ?」と思ったのが最初でした。
ちなみに、年のせいでしょうか、「夢追い日記」で演歌「夢追い酒」、あるいは吉永小百合主演のドラマ「夢千代日記」を思い出してしまいました……(汗)
このところ連続して、さまざまなご案内を書店に送っていましたので、ここでまとめておきます。
まずは好評につき重版にもなった『プルーストへの扉』を中心に、「名作を読んだ気になる本」のみにフェアのご案内です。
なんだかんだ言って、この手の本の需要というのはあるもので、あたしの勤務先の本だけでなく、下欄には他社の類書も掲載しておきました。こんなところを中心に、あとは書店員さんの好みで更に取捨選択を加えてフェアをやっていただけたらとても嬉しく思います。
今月は3月のベストテンと共に、注目の最新刊、そして永遠のベストセラーである『ライ麦畑でつかまえて』『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を掲載しています。
『ライ麦』も売れに売れている書籍ですが、書店によっては気づくと在庫がなくなっていたり、そもそもふだんから置いていないお店もあるんですよね。時々こうして案内をするのも地味ながら大事なことだと思っています。
続いてのご案内は、ナポレオン没後200年関連書籍の案内です。
来る5月5日で、あのナポレオンが亡くなって200年になるのです。ナポレオンの評伝こそ出していませんが、ナポレオンやその時代に関する書籍なら何点が刊行していますので、それらをまとめてご案内しました。
ナポレオンであれば、むしろどれを外したらよいのか、というくらい関連書籍が各社からたくさん刊行されていますので、この春は書店店頭がナポレオン・フェアで大いに賑わうのではないでしょうか?
そして、次は書評の後、動きが非常によくなった『権威主義 独裁政治の歴史と変貌』のご案内です。
トランプ以来なのかトランプと前後してなのか、ヨーロッパではポピュリズム政党が躍進し、その一方で中国やロシアを筆頭に個人に権力が集中するような、半ば独裁的な政権が増えているようです。
民主主義は手続きに時間がかかりすぎて、変化の激しい今の時代にそぐわないと思っている人が多いのでしょうか? そんな昨今の世界的潮流について考察した本書は、改めてひもとかれるべき一冊なのではないでしょうか?
続いては、新刊『複眼人』(KADOKAWA)が店頭にドドーンと積まれている台湾の人気作家、呉明益の『歩道橋の魔術師』のご案内です。
呉明益の日本で最初に紹介したのはこの『歩道橋の魔術師』で、その後文藝春秋から『自転車泥棒』が出て、『複眼人』は3冊目になります。『複眼人』がこの後どういう動きをするかわかりませんが、まずは既刊の『歩道橋の魔術師』を一緒に並べませんか、という案内であります。なによりも、非常によく売れた(売れている)作品ですので、まだまだこれからも売れるはずです。
台湾の次は韓国、というわけではありませんが、土曜日の朝日新聞読書欄でご紹介いただいた『もう死んでいる十二人の女たちと』のご案内です。
こちらも今回の書評を待つことなく売れ行き好調で、重版が決まっております。韓国現代社会にさまざまな影響を与えた事件や事故を題材に、それに対峙する人々を描いた作品集です。
東日本大震災とそれに伴う原発事故、ここ数年来、各地を襲う大雨被害など、日本でもこれまでの日常生活を根底から揺さぶられる事件や事故が頻発していますので、韓国の作品ながら、非常に身近に感じられるのではないでしょうか?
やはりこの時季が一番売れますし、そろそろ語学辞典のフェアなどを考えている書店の方も多いと思います。あたしの勤務先で出しているのは諸外国語の辞典ですので、英和辞典や国語辞典のように爆発的に売れるわけではありません。
でも、だからこそ類書も乏しく、これしかない、というものもあるので地味ながら毎年着実に売れています。英和・国語ほどのスペースは取れなくとも、在庫が切れているものだけでも補充していただければ嬉しいです。
と、今回はご案内が多くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
『お葬式の言葉と風習 柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典』です。昨年の10月に刊行された書籍です。
柳田國男の『葬送習俗語彙』という書名と本書の著者・高橋繁行の名前にピンと来ました。講談社現代新書の『土葬の村』です。タイトルに惹かれて先日買って読んだばかりの一冊です。この『土葬の村』の著者が高橋繁行で、同書の中で盛んに『葬送習俗語彙』が引用されていたのです。
ちなみに『土葬の村』は今年の2月刊行の書籍ですから、著者としては二冊同時並行で作っていたのではないでしょうか。どちらを先に手がけていたのかはわかりませんが……
それはともかく、先に出た『お葬式の言葉と風習』が人文書コーナーに置かれているのは理解できます。単行本ですから、内容に合わせてふさわしいジャンルに置かれていたことになります。
ところが、今年になって現代新書で『土葬の村』が出たのですから、一緒に並べるくらいのことをしてもよかったのではないでしょうか? 現代新書のコーナーには現代新書のみならず、各社の新書が所狭しと並んでいるでしょうから、そこに創元社の『お葬式の言葉と風習』を並べるのは厳しいかも知れません。であれば、人文書コーナーに『土葬の村』を持ってきて一緒に並べることもできたはずではないでしょうか? たぶん出版社としては、そういう並べ方を期待していると思います。
こういう時に、文庫や新書、単行本といった形状にこだわらず、テーマに沿って本を並べている一部の書店や図書館は優れているなあと感じるところです。もちろん、こういった気づきを書店の方にそれとなく伝えるのも書店営業の大事な仕事ではありますが、今回はちょっと書店の方が忙しいところだったので、余計な雑談は憚られました。
しかし、こういうサジェスチョンは余計な雑談なのか、あるいは大事な営業トークなのでしょうか? 多少の自省も感じているので、ここに書いて罪滅ぼしとさせてください。いや、お前に言われなくても、とっくに気づいて一緒に並べているよ、という書店員さんも多いのだと思いますが……
緊急事態宣言が解除されてから、書店訪問営業を再開しています。
密を避けるとか、人流を減らすとか、感染拡大防止の観点から見て、あたしの行動は問題ないのか、なんとも言えませんが、ただ、少なくとも外回りをしている限り、ほぼみんながマスクをしていることを除けば、コロナ以前と変わらない街の風景が見られます。いや、いろいろな商業施設の入り口に消毒液が置いてあるのが以前とは異なるところでしょうか。
でも、それを除くと街の人出に大きな変化は感じられません。確かに電車は少し空いているのかな、という気もします。出勤時間はそれほど変わっていないので、混雑具合はコロナ前よりも楽であるとは言えます。ただ、日中に関してはこんなものだと思いますし、時差通勤なので午後は早めに上がるので、夕方のラッシュには引っかかりませんから、その時間帯がどうなのかは判断しかねます。
こういう風に営業に回っているのが感染を拡大する一因となっているのでしょうか。あたし自身が無症状でもウイルスを運んでいるかも知れません。そうなると書店の方にうつしてしまっているのか、あるいは自宅に持ち帰って老齢の母に感染させてしまっているのか、そんな不安もあります。
幸いにも母も今のところは元気ですが、なにぶん七十代後半、今月には78歳になるので、ちょっとしたことが命取りになりかねません。怖がりすぎでしょうか?
最近の文庫クセジュです。
それがどうした、と言われそうですが、何かお気づきになりませんか?
と言われても、この画像ではわかりにくいと思います。
ですので、二枚目の画像をご覧ください。これならわかっていただけるのではないかと思います。
実は、文庫クセジュが今年で創刊70周年を迎えまして、帯のところにひっそりとそのことが書いてあったのです。
えーっ、気づかなかった!
という方がほとんどだと思います、実は社内でも知っている人はごくごく少数で、あたしも実はつい最近知ったのです(汗)。営業部員にあるまじき失態です。
しかし、そういうわけで文庫クセジュ70周年なので、夏から秋、そして冬にかけてフェアを開催予定です。いま、仕込みの最中です。これから書店にも案内していきます。
最後に、これはクセジュとは関係ありませんが、新刊の『対訳 フランス語で読む「失われた時を求めて」』は、既刊の『プルーストへの扉』と併売していただけると大変嬉しいです。
前者は語学書、後者は文芸書のコーナーに置かれているかも知れませんが、できましたら一緒に文芸書コーナーで展開していただけると相乗効果を生むのではないかと期待してお選ります。