罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

短篇集を三つ続けて

ゴールデンウィークだからって出かけるなんて思わないでください。そんな政府や経済界の策略に乗ったりはしません。自宅に籠もっています。近所のコンビニやスーパーに時々出かけることが数回、これがあたしのゴールデンウィークです。

では何をしていたのかと言いますと、読書です。

いや、読書三昧と呼ぶにはPCの前に座っている時間もあれば、テレビを視ている時間もそこそこありましたので、読書もしていた、と言う方が正確だと思います。

で、読んでいたのは、まずは『路地裏の子供たち』です。ゴールデンウィークに入る前から読み始めていたので、この連休の前半で読み終わりました。

スチュアート・ダイベックの短篇集で、シカゴの街で何となく不満があるようなないような、思うように生きているような生きていないような、そんなわけもなくむしゃくしゃしているような若者が描かれています。タイトルは「子供たち」ですが、登場するのはもう少し年が上、中学生、高校生といったところでしょうか。大人でもなく子供でもなく、といった世代です。

次に読んだのは『海の乙女の惜しみなさ』です。

こちらも短篇集ですが、登場人物たちの年齢はグッと上がって、人生の折り返し地点を過ぎ、よーく見れば先の方に人生のゴールが見えつつあるような世代です。

だからといって悲壮な作品ではありません。もちろん黄昏た感じはありますが、まだまだ夕日を浴びて光り輝いている世代です。真昼の太陽の力強さこそありませんが。

ちなみに、アマゾンのトップページで検索窓に「海の乙女の惜しみなさ」と入力して検索すると同じデニス・ジョンソンの『ジーザス・サン』はヒットするのですが『煙の樹』はヒットしません。なぜなんでしょう?

さて、最後に読み始め、いま途中まで読んでいるところなのは『カッコウが鳴くあの一瞬』です。中国の作家、残雪の、こちらも短篇集です。いみじくもゴールデンウィークに短篇集ばかり読むことになってしまいましたが、その理由はあたしの勤務先が続けざまに短篇集を刊行したからに他なりません。