罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

やっぱりダメだ……

亜紀書房の『大都会の愛し方』読了。

韓国のクィア小説ということですね。こういう作品はボーイズラブ(BL)とは呼ばないのでしょうか? ボーイズラブの定義をよく理解していないので……

まあ、とにかく男性の同性愛の物語です。

と、ここまでの書きぶりから嫌悪感を抱いて読んだみたいな印象を持たれたでしょうか? 確かに、若干の嫌悪感を抱きました。ただし、それは同性愛の描写に対してではなく主人公の生き様についてです。

あたしって、やはりなんだかんだ言っても根は真面目なんですね。几帳面と言ってもよいかも知れません。いや、世間で言われるほどの潔癖なタイプではなく、意外といい加減なところもあるとは思います。ただ、生活習慣に関してはかなり保守的で、ちゃんと学校へ行き、出された課題はきちんと済ませるような学生時代、もちろん遅刻や欠席などもってのほか、といった学生でしたし、社会人になってからも9時までには出勤し、時間にルーズな人は許せないと感じてしまうタイプの人間です。

ですから、この主人公のように、なんとなく生きていて、その時の思いつきで後先考えずに行動し、それだけならまだしも周囲の人間を巻き込んでしまうタイプの人間はどうしても好きになれません。読んでいて感情移入しづらい主人公でした。こんな奴が身近にいたら嫌だなあ、と思いながら読んでいました。もちろんその「嫌だなあ」という感情は同性愛者に対する嫌悪ではなく、いい加減な生き方をしている態度に対する嫌悪なのですが。

とはいえ、物語は楽しく読めました。同性愛の世界は、もちろん知らないことだらけなので、この作品に描かれていることがすべてだとは思いませんが、なんとなく彼らなりの苦労もあれば楽しみもあるのだということがわかりました。韓国の小説ですが、これが日本だとどうなのでしょうね。