罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

冠水とか氾濫とか

今年も各地で大雨の被害が報告されています。こういったニュースを見ると思い出す、子供のころの光景があります。

小学生だったと思いますが、当時のあたしは杉並区高井戸に住んでいました。井の頭線高井戸駅から歩いて10分もかからないところでした。もちろん駅前の高井戸小学校に通っていました。

そんな井の頭線高井戸駅は環状八号線の上にある駅です。環状八号線と交差するように井の頭線が走っていて、環状八号線は井の頭線をくぐるようなかたちで通っていました。

ちょうど井の頭線のすぐ南側を神田川が流れていて、この神田川が付近一帯の谷になっており、井の頭線をくぐる環状八号線は、駅の下がちょうど谷底のような感じでした。

当時は神田川の改修工事もされておらず、大雨の時は神田がしばしばは氾濫したものです。そうなるとちょうどくぼみになっている高井戸駅の高架下、環状八号線に水がたまってしまうことがありました。多少の雨であれば車も通れましたが、あたしが住んでいるころには、何度か環状八号線の高井戸駅下が通行止めになる事態を体験しています。

神田川がそんな状態でしたので、区内を流れるもう一つの河川、善福寺川も大雨の日はしょっちゅう氾濫していました。そして神田川善福寺川が合流する区の東部、中野区一帯は都内でも有数の洪水地帯と呼ばれており、当時は不動産価格が周囲よりも安かったと聞いています。

井の頭線で言えば、京王電鉄のターミナルでもある明大前駅も上を走る京王線と下を走る井の頭線という構造なのですが、井の頭線は地面よりも低い位置を走っていて、明大前駅が水没するという事態も起こっていました。そうなると渋谷永福町間は運転見合わせとなり、井の頭線は吉祥寺と永福町間の折り返し運転になりました。京王線で新宿から乗ってきて、明大前で井の頭線に乗り換えようとしたら電車が動いていなかった、という体験も数度体験しております。

あたしが子供のころは、線状降水帯なんて言葉はなく、たぶん雨の量も今の豪雨ほどではなかったと思います。それでも河川の改修が完成していないところではこういった氾濫がしょっちゅう起こっていたものです。

その後、神田川は護岸もきれいに整備され、あたしが中学になるころには氾濫するような気配は微塵も感じられなくなり、環状八号線が通行止めになったり、明大前駅が水没することもなくなりました。

あっ、ちなみに、あたしが小学生のころというのは、昭和50年代前半のことです。ちょうどそのころ、高井戸小学校の創立百周年があったのを覚えています。