罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

真夏に冬の子?

ジャネット・ウィンターソンの新刊が、河出書房新社から刊行されました。『フランキスシュタイン』です。

ジャネット・ウィンターソンと言えば、あたしの勤務先からも『さくらんぼの性は』『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』の三作品が刊行されています。邦訳が出るのは久しぶりなので楽しみです。タイトルを見れば、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』に着想を得た作品であることがわかりますが、果たしてどんなストーリーなのか、読むのが楽しみです。

ところで、ウィンターソンって「冬の子(息子)」という意味になるのでしょうか? 毎日のようにほぼ猛暑日が続いている現在の日本で「冬」が名前に入っている人の作品が刊行されるのは、一服の清涼剤になってくれるのでしょうか?

ところで海外文学ではもう一つ気になる作品を落手しました。

李琴峰訳『向日性植物』です。あたし、不勉強のため著者の李屏瑤って知らないんですけど、台湾ではヒットメーカーなのでしょうか?

そして、内容はまるで異なる作品だとは思うのですが、あたしの勤務先から刊行している『房思琪の初恋の楽園』と似た空気感を感じるのです。『向日性植物』の方はレズビアン小説だと書いてありますが、『初恋の楽園』はレズビアン小説ではありません。ただ、主人公のファン・スーチーと語り手の関係を考えると、プラトニックなレズビアンという感じがしないでもなかったです。

まあ、この二作品に通じるものを感じるのは、あたしだけだろうと思いますし、これから『向日性植物』を読んでみたら、全然異なる読後感が生まれるかもしれませんけど。