罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

この二つの作品を併売するのはダメでしょうか?

少し前だったか、だいぶ前だったか、いつごろ知ったのか記憶にありませんが、それでもたぶん、せいぜい知ってから一年くらいだと思うのですが、『ダーウィン事変』というコミックがあります。

「知った」という書き方が表わしているように、あたしはこのコミックを読んでいません。別に毛嫌いしているわけでもなければ、絵のタッチが好みではない、というのでもありません。ただ単に機会がなかったというだけです。

同コミックの公式サイトによると

私の友達は、半分ヒトで、半分チンパンジー。テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。そこでチャーリーは、頭脳明晰だが「陰キャ」と揶揄されるルーシーと出会う。

と書いてあります。舞台がアメリカと聞くと、「こんな実験、本当にやってそう」という気もしてきますが、それはともかく半分サルで半分ヒトのチャーリーが人間世界で暮らし、ルーシーと交流して、というストーリーなんですね。

単に動物が登場して人間世界で騒動を起こすという小説やコミックであれば過去にいくつもあったと思いますが、半獣半人という存在がこの作品のキーですね。

そんな設定で思い出したのが、あたしの勤務先から出ている『私たちが姉妹だったころ』です。2017年に刊行されたものですので、2020年刊行の『ダーウィン事変』第一巻よりも前になります。この本が『ダーウィン事変』都道関係するのかと言いますと、まずは内容紹介を。

「あたしファーンがこわいの」幼い日の自分のひと言が、家族をばらばらにしたのだろうか――。 ローズマリーはカリフォルニア大学で学ぶ22歳。無口で他人とうまく付き合うことができない。かつては心理学者の父と主婦の母、兄と、双子にあたる姉ファーンのいる、おしゃべりな子だった。だが5歳の時に突然祖父母の家へ預けられ、帰ってみると姉の姿が消えていた。母親は部屋へ閉じこもり、父は酒に溺れる。大好きだった兄も問題児になり、高校生の時に失踪してしまう。ローズマリーがこの大学を選んだのは兄の手がかりを捜すためだった。

これだけですとわけがわからないと思いますので補足します。まず主人公であるローズマリーが無口で人付き合いが苦手という性格です。ちょっと違うかもしれませんが、「陰キャ」という『ダーウィン事変』のルーシーに似ているところがありませんか?

そして、これがネタばらしなんですが、いなくなってしまったというローズマリーの双子の姉ファーンが実はチンパンジーなのです。幼いローズマリーは姉がチンパンジーだなんて思いもせず、に暮らしていたわけなのです。そう聞くと、『ダーウィン事変』を読んでいる方であれば興味を持たれるのではないでしょうか?

逆に『私たちが姉妹だったころ』を読んでいた方が、数年後にコミックの『ダーウィン事変』に出会った、なんてことも起きているのではないでしょうか? どちらも未読のあたしには偉そうなことは言えませんが、ぜひ両方読まれた方の感想が聞きたいものです。