罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

またしても独裁者の伝記?

先年、あたしの勤務先から『スターリン』という本を刊行しました。税込で5000円を超える分厚い本だったのですが、お陰様で好評をもって迎えられ、何度か版を重ねることができました。

そして、その副題が「独裁者の新たなる伝記」です。これだけの本ではありますが、非常にあっさりとした、わかりやすいといえばわかりやすい副題です。

そんな記憶もまだ鮮明な記憶として残っていますが、最近、書店の店頭でこんな本を見かけました。『アードルフ・ヒトラー』と言います。法政大学出版局の新刊です。

ヒトラーの伝記はたくさん出ています。それこそ数え上げたらきりがないというのはこのことでしょう。そこへまた一冊、追加されるわけですから、何か新味がないと埋もれてしまうでしょう。

そして、この本の副題が「ある独裁者の伝記」なのです。なんとなく見覚えがないでしょうか。上掲『スターリン』と副題が一緒ではないですが、何か通じるものを感じます。スターリンもそうですが、これだけたくさん類書が出ていると、むしろ副題は奇を衒うよりもシンプルな方がよいのかもしれませんね。