罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

何語で喋っているのか?

昨日は下北沢にある本屋B&Bで行なわれた、台湾の作家、甘耀明さんのイベントに行って来ました。対談相手は作家の温又柔さん。甘耀明さんのイベントは、コロナ前に甘耀明さんが来日されたときにも参加しましたが、それ以来になります。

対談相手の温又柔さんの指摘で、あたしも改めて感じたのですが、今回の新刊『真の人間になる』は、もちろん日本語に翻訳されているわけですし、原書は中国語で書かれているのですが、この作品世界の中では数か国語が飛び交っているのですよね。戦中だと日本語が支配言語として君臨していますし、台湾の原住民はそれぞれの民族の言葉で話しているわけですよね。そして彼らは共通語としての台湾語もマスターしなければならなかったようですし、当時の複雑な政治状況と言語事情を考えながら読むのも、本作の楽しみ方の一つなんだと思います。

そして下北沢からの帰路は井の頭線です。

渋谷発の電車だと先頭車両の一番吉祥寺寄り、運転席のすぐ後ろの吊り輪は、ご覧のようにピンクのハート型です。すべての車両にこの吊り輪があるわけではなく、レインボーからの車体の編成にのみ付いているという、ちょっとだけレアな吊り輪です。

数年前にテレビのニュースでも取り上げられていたので、ご存じの方も多いでしょう。この吊り輪カップルで握って写真を撮る、なんていうのも当時は流行っていました。いまは誰も見向きもしないというと語弊がありますが、ふだん井の頭線を利用している人は取り立てて騒ぐこともなく、気にも留めていないようでした。