罔殆庵

染井吉野ナンシーの官能世界

いつまでもあると思うな?

昨日の朝日新聞夕刊です。

学術書の専門出版社がなくなり、その出版社が出していた商品を東京大学出版会講談社が引き取って、今後も刊行を続けるといういことです。読者からすると、刊行が続くというのは嬉しいことですし、引き受けた出版社の英断に拍手を送ります。

ただ、創文社が刊行していた書籍すべてを、この両社が引き受けてくれたわけではないですよね。もちろん今後も刊行を続けていくべき商品か否かは、一点一点しっかり吟味しないとならないと思いますが。

しかし現実問題として、この出版不況で経営が厳しい専門書出版社は創文社だけではないはずです。これからも出版社の解散や倒産といったニュースはあると思います。もちろんニュースにもならず、ひっそりと静かに幕を下ろすところも多々あるだろうと思います。

それに対して、その遺産を引き継いでくれる出版社はどれくらいあるのでしょう? 採算割れはしないとはいえ、学術書ですから一定数の読者はあるとしても売り上げはたかが知れていると思います。売れて売れて大儲けなんてことはないでしょう。そもそもそれくらい売れるのであれば、元の出版社がなくなることもないでしょうし……

そんな創文社ですが、あたしも学生時代にお世話になりました。

函入りの《東洋学叢書》は、やや高価ということもあり、専ら図書館や研修室の蔵書を借りるばかりでしたが、こちらの写真に写っている《中国学芸叢書》は出るたびに購入していました。

写真には10冊ほど映っていますが、他の書架に3冊あるので、全部で13冊所蔵しています。不定期刊行だったので、全部で何冊刊行されたのか、果たしてあたしはすべてを所持しているのか、まるっきり不明ですが、とりあえず刊行が始まったころのものは所持・架蔵していると思います。

刊行当初のラインナップ(刊行予定)を見ると、なかなかに興味深いタイトルが揃っていたという記憶があるのですが、結局この叢書は完結したのでしょうか、あるいは刊行されずに終わったタイトルは他社から刊行されたりしたのでしょうか?